クロスバズのベコです。
前々回、「【初心者向け】リスティング広告の指標」で、よく使われる指標について簡単にご説明しました。
運用をする際には、これらの指標使って、実際の目標や施策に沿った動きになっているかを確認し、 PDCAを回しながら改善を繰り替えしていくのですが、そのためには「どの指標を変更できればどのように変わるか」という基本的な関連性を把握しておく必要があります。
しかし、初めての際は、色々な指標があり、指標を見ても、どこを改善したらいいかわからず、複雑に感じてしまうことが多いと思います。
今日は、指標の名前はわかるけれどどう使ったらいいかわからない。計算も苦手!という方にもおすすめな方法をご紹介いたします。
※計算のところが、当たり前すぎてつまらない方は「ロジックツリーとは」だけ読んで頂いてもOKです。
目次
計算式を分解しよう
CPAを下げる場合、何をどうすればよいでしょう(自動入札の場合は少し簡単かもしれません)。
どこをどうすれば、何が改善するか何となくわからないから表示される最適化だけしている。色々な指標をレポートで見ているけど、対策方法がわからない。
そんな時まず試していただきたい方法として、まず計算式を分解し、それぞれの指標の関連性を調べる方法がおすすめです。
何やら難しいような気がしてきましたが、簡単なので大丈夫!
早速、CPAがどんな値から導き出されているか、計算式を分解してみましょう。
コンバージョン単価の計算の仕方
CPAは、1件のコンバージョンを獲得するためにかかった費用になり、下記の計算式で計算できます。
コンバージョン単価 (CPA)=費用 ÷ コンバージョン数
例えば、10万円の費用をかけて、コンバージョン数が20件だった場合、コンバージョン単価は5,000円になります。
100,000円(費用) ÷20(コンバージョン数)=5,000円(コンバージョン単価)
では、この5,000円のコンバージョン単価を下げるにはどうしたらよいでしょうか。
分数にしたほうがわかりやすいかもしれません。
計算式から考えると、分子の 100,000円の費用 を減らすか、 分母のコンバージョン数20件を増やせばよいという事になります。
費用の減らし方を考える
「コンバージョン数を増やすのは難しそうだ。では、費用を減らす方向で進めよう。」と考えたとします。その場合、費用を減らすにはどうしたらいいのでしょう。
日予算を減らすのが一番簡単ですが、ただ単純に予算を減らすと、全体のパフォーマンスも落ちてしまう可能性があります。
そんな時には、「費用」の要素をまた分解してみましょう。
費用の計算方法は 下記となりますので、 計算上は「クリック数」または「クリック単価」、またはそのどちらもを減らせばいいということになります。
費用(COST) = クリック数(CT) × クリック単価(CPC)
費用を下げればCPAも下がるので、つまり「CPAを下げるためには、クリック数かクリック単価のどちらか又は両方を下げればよい」という事がわかります。
では、ほんとにそうなるのか、実際に計算してみましょう。
先ほどのCPAが5,000円の例で、考えてみます。 広告費用は10万円で、 平均200円のクリック単価で、500クリックされていたとします。
500(クリック数 )×200(クリック単価) = 100,000円(費用)
100,000円(費用) / 20(コンバージョン数)=5,000円(コンバージョン単価)
広告費用を減らしたいと考えた場合は、計算上は「クリック数」または「クリック単価」、またはそのどちらもを減らせばいいということになり、もしも、クリック単価を半分に下げることができれば、 費用を半分に抑えることができると考えられますが、
実際計算してみますと
500(クリック数 )×100(クリック単価) = 50,000円(費用)
50,000円(費用) / 20(コンバージョン数) = 2,500円(コンバージョン単価)
コンバージョン単価が半額になりました!
それぞれの指標の要素を分解する癖をつけていると、指標同士の関連性がつかみやすくなり、どこを改善すればいいかが明確に分かるようになります。
ただ、上記のように計算式を毎回分解して考えるのは大変ですし、かえってわかりにくいと思いますし、実際は、こんなに単純に一か所を変えればよいというものではなく、色々な要素が絡み合って現在の結果が生まれている事が多いため、慣れて感覚的にわかるようになるるまでは「ロジックツリー」を作っておくのがおすすめです。
ロジックツリーとは
ロジックツリーとは、「問題を要素に分解しツリー上に記入し、その問題の原因や解決法を発見する際に活用できるフレームワーク」になります。
色々な問題解決に使えますが、リスティングの仕組みや改善方法を整理するのにとても便利だと思います。
では早速作ってみましょう。
ロジックツリーの作り方
1)指標の計算の仕方を一覧でまとめる
2)目標となるものや、改善したい内容を落とし込みます。
コンバージョン単価を下げるツリーを作る場合、まず一番上の階層に、CPAと書きます。
3)一段下に更に分割した内容を記載
下にコンバージョン単価 (CPA)=費用 / コンバージョン数 の式を分解してそれぞれ、COST,CVと記載します。
4)計算式が2つの時は二つ並べる
コンバージョン単価を計算する式は実はもう一つあります。
「コンバージョン単価(CPA) = クリック単価(CPC) ÷ コンバージョン率(CVR)」
その場合は、横にもう一つ別のツリーを展開します。
コンバージョン単価を計算する式の、「クリック単価(CPC)」「 コンバージョン率(CVR)」のCPCとCVRを記載します。
5) それぞれの指標の改善方法を記載
ぱっと見て、改善できることが重要なので、どういった時にどういった方法で改善できるか記載しておくと便利だと思います。
なお、はじめて作成するときは、1階層か、2階層位で作る事がおすすめです。自分が良く使う改善方法がぱっとわかるように、シンプルなつくりにしておく方が良いと思います。
注意事項
- ロジックツリーを細かく作成すると、改善方法が目に見えるようになる半面、関係性をあまり深く書き出してしまうと、かえってよくわからなくなってしまうと思いますので、最初は簡単に1階層か2階層くらいの分解がおすすめです。
- 改善方法が全て見える事ため、気になって一度に改善してしまうと、どの解決策が最適だったのかがわからなくなるので、 数値のボリュームの大きい部分などから、順番に試して改善していくことがおすすめです。
構造を掘り下げてみると少し見えるようになってくる
あまり階層を掘り下げすぎると、同じような計算が出てきて反対に分かりにくくなってしまう場合があるといいましたが、 更に細かく分解していくことで、仕組みがわかってくる事もありますので、ある程度シンプルなもので理解したら、試しにつくってみるのも頭の整理になっておすすめです。
例えば、「費用」を下げるためには「クリック数を減らす」必要がありますが、そのままクリック数を下げた時、コンバージョン数も減ってしまう事があります。
上記のロジックツリーを見てみると、コンバージョン数を増やすためには「クリック数を上げる」必要があるのががわかります。つまり、CPAを下げたい場合、クリック数を減らすと「コストを下げられる可能性もあるけど、コンバージョンが減ってしまう場合があるから、成果が上がらない可能性もあるな 。」 といった気づきに繋がったりします。
また、クリック単価を下げても費用も下がらず、クリック数を上げることができない場合、「クリック単価では解決できないなら、CVRを上げるしかないな。そのためにはLPを改善する必要があるのではないか?」など、発見できることもあります。
上記は、計算をベースにして作ったロジックツリーになっていますが、リスティング広告の仕組みにのっとって、改善方法だけを記載したロジックツリーなど、検索してみるといろいろ見つかりますので、参考にして、自分に合ったものを作成していただくのが良いと思います。
特に自動入札を使っていると(基本的な考え方は一緒なのですが)細かい調整ができず、細かいデータが見れないこともあるため、改善方法をベースにしたツリーの方が使いやすいかもしれません。
おわりに
この仕事をやるうえで致命的と思われる「算数嫌い」の私ですが、一度じっくり考えてロジックツリーを作ったところ、それぞれの関係性が感覚的に理解できるようになり、とても役に立つ方法だったためご紹介しました。
計算が苦手な方は、自分で作る事がおすすめです。ぜひ試してみてください。
機会学習や自動入札の仕組みに合わせたロジックツリー。次回作れたらトライしてみます!