クロスバスbecoです。
インターネットで広告を運用する上で必ず付いて回る広告の審査。
特に商材によっては広告審査が通りにくかったり、思わぬ表現が広告で利用できないなど、難しさを感じる部分も多いと思います。
今回は、初めて広告を運用する方に対し、まず広告ポリシーとは何?といった部分から解説したいと思います。
ただ、広告ポリシーについては、その性質上、媒体のヘルプページやお問合せでも詳しい情報が得られないため、あくまで経験値によるものなのでご了承ください。審査でお困りの方に少しでもお役に立てれば幸いです。
では、早速解説しましょう。
目次
広告ポリシーとは
広告ポリシーとは、広告を配信する上で遵守するべきルールや規定となります。(インターネット広告では、媒体に応じて、広告ポリシーや広告ガイドラインといった呼称で呼ばれます。)
広告ポリシーは、広告を閲覧するユーザーが安全かつ快適にサービスを利用する事を目的に、広告を掲載する国や地域の法令、社会情勢、業界のルールなどに基づいて媒体ごとに定められています。
法令に基づいている為、広告を配信する上で広告ポリシーを遵守する必要があります。
広告審査とは
インターネットで広告を配信をする為には、媒体の決めた広告ポリシーを遵守する必要があるため、その基準を満たしているか審査が行われています。
審査の方法は媒体によって様々ですが、Google広告の場合、まず機械的な審査が行われ、人間の目を通しての審査も行われます。
また、それらの審査の対象は管理画面上で設定した広告クリエイティブだけではなく、宣伝する商品やサービス、広告に使用するLPなどのページ、広告の配信の仕方、広告自体の表現方法、ターゲットなどが全て審査対象となります。
例えば、Google広告やYahoo広告の場合、審査結果は、入稿した広告やキーワードの承認結果として表示されますが、広告クリエイティブやキーワードの表記・設定内容は勿論、そもそも商品自体が広告ができるか、リンク先のLPの内容や仕組みは正しいか?ターゲットは適切か?など条件を全て含んだ審査の結果になっています。
よくある例として、広告が不承認になったので、管理画面上で広告クリエイティブをいくら直しても審査が通らないのでヘルプデスクに問い合わせてみたところ、実際は広告の表記は問題なく、広告のリンク先のLPに問題があるといったケースがあります。
このように、LP自体がポリシーの問題がある場合、広告クリエイティブ自体には問題がなくても、全ての広告が審査に落ちてしまうこともあるため、遷移先のLPの内容もしっかり確認する事が重要です。
特に、広告を開始してからLPの修正が発生してしまうと、制作会社などにデザインやコーディングの再依頼が必要になり、時間や費用などがかかってしまう場合も考えられるため、審査に不安のある商材の場合は、事前にできる限りポリシーに準じた内容でLPを作りこむなど、リスク回避ができるように準備しておくことが重要です。
広告ポリシーの禁止事項(Google広告)
では、具体的にどういった禁止事項や、どんな商材がポリシーに抵触する可能性があるか確認していきましょう。
※ここに記載している内容は、2023年5月時点の情報となりますので、最新情報はリンク先から確認してくださいね
Google広告の場合、ポリシーの対象となる禁止事項は主に4つに分類されます。
禁止コンテンツ
法律によって禁止されている物品や危険物、偽造品、不正行為を助ける商品など、ユーザーに損害、損傷、危害を引き起こすような商品やサービスについては、宣伝自体が禁止されています。
また、犯罪や暴力的な内容、人種差別などの偏見や差別など、ユーザーに不快感を与えるコンテンツについても禁止されています。
- 偽造品:他の商標と同一またはほとんど区別がつかない商標やロゴを使用している商品
参考リンク:https://support.google.com/adspolicy/answer/176017? - 危険な商品:危険ドラッグ(化学物質やハーブ。大麻の成分を使ったものなども注意)、向精神薬や麻薬、薬物器具、兵器、武器、爆薬(火薬や花火も禁止)、や爆弾の作り方、たばこ
参考リンク: https://support.google.com/adspolicy/answer/6014299? - 不正行為を増長させるサービス:ハッキングソフト、トラフィックの水増し、偽造文書、受験代行
参考リンク: https://support.google.com/adspolicy/answer/6016086?hl=ja&ref_topic=1626336&sjid=5279362899788575320-AP - 不適切なコンテンツ:個人や団体への脅しや関わるもの、犯罪、事故現場、自傷行為、脅し、人種差別、冒涜的な言葉、動物虐待、絶滅危惧種の販売(化粧品の成分や、角などの体の一部も注意)
参考リンク:https://support.google.com/adspolicy/answer/6015406?
禁止されている行為
ユーザーの情報を不正に取得したり、広告ネットワークを不正に利用しユーザーを混乱させる行為、ポリシーを回避するための不正行為は禁止されています。
- 広告ネットワークの不正利用:マルウェアを含むコンテンツの宣伝、クローキング(ユーザーに実際に表示されるリンクを隠す手法)、ブリッジページやゲートウェイページの宣伝(ユーザーを別のページに誘導する為だけに作られたページ。有益なコンテンツのない他のドメインに飛ばすことが目的のページ。コンテンツがない商品比較サイト、サイトマップだけのページなど)、SNSで好評価を得る為だけを目的にした宣伝
参考リンク:https://support.google.com/adspolicy/answer/6368661?hl=ja - データの収集および使用:ユーザー情報を不正使用することや、目的を明らかにせずに、あるいは適切な情報開示や安全対策を講じることなくに収集する行為
参考リンク:https://support.google.com/adspolicy/answer/6020956 - 不実表示:ユーザーを騙す目的で商品に関する情報を故意に掲載しなかったり、商品やサービス、ビジネスについて誤解を招く情報を表示したりしている広告やリンク先など ユーザーや第三者に誤解を与えたり、損害を与える可能性のある不正行為
参考リンク:https://support.google.com/adspolicy/answer/6020955
制限付コンテンツ
法律や文化的観点から、制限付で許可されるコンテンツを指します。
性的なコンテンツやアルコール、著作権で保護されたコンテンツ、ギャンブル、ヘルスケアや医薬品、政治、商標や法的要件に関するコンテンツなど。 これらの取り扱いに注意するコンテンツは、配信ユーザーやネットワークが制限付で許可されます。
- 性的なコンテンツ:成人向け美容施術、出会い系、部分的なヌードなど
ユーザーの検索語句と年齢、および配信先地域の法律に基づいて、限られた場合にのみ表示。未成年者を広告のターゲットにすることは禁止
参考リンク:https://support.google.com/adspolicy/answer/6023699? - アルコール:一部のアルコール関連広告は、以下のポリシーに準拠し、未成年者を対象とせず、アルコール関連広告の表示が明示的に許可されている地域に掲載することで許可される
制限付きのアルコール飲料の例: ビール、ワイン、日本酒、蒸留酒またはアルコール度の高い酒、シャンパン、酒精強化ワイン、ノンアルコール ビール、ノンアルコール ワイン、ノンアルコール蒸留酒
参考リンク:https://support.google.com/adspolicy/answer/6012382? - ギャンブル:公営ギャンブル(競馬、競艇、競輪、オートレース)は主催者のみ。宝くじは国の認可を受けた事業体のみ。未成年者を対象としないようにする必要があります。
参考リンク: https://support.google.com/adspolicy/answer/6018017? - 著作権で保護されたコンテンツ:広告を配信するためには許可が必要
参考リンク: https://support.google.com/adspolicy/answer/6018015? - ヘルスケアや医薬品:医療機関、健康食品、エステなど
医薬品に関する広告規制を遵守する必要がある。広告とリンク先では適切な法律と業界基準を遵守
参考リンク: https://support.google.com/adspolicy/answer/176031? - 法的要件:広告掲載のポリシーに加え、広告掲載先の国や地域で適用されるあらゆる法律および規制を遵守する必要がある。消費者金融、クレジットカード、金融機関、不動産、出会い系などは制限される
参考リンク: https://support.google.com/adspolicy/answer/176031? - 商標:商標権所有者様が Google に対して有効な申し立てを行われた場合のみ(許諾された広告主様)
参考リンク: https://support.google.com/adspolicy/answer/6118? - 政治:掲載地域の政治活動や選挙に関する法律に準拠する必要がある
参考リンク: https://support.google.com/adspolicy/answer/6014595? - 子ども向けに制作されたコンテンツ:子ども向けとして設定されたコンテンツにはパーソナライズド広告を掲載できません
参考リンク:https://support.google.com/youtube/answer/9528076
その他、ユーザーの保護の為に、特定のビジネスに制限があったり、特定の広告フォーマットに制限を設定していることもあります。
編集基準や技術要件
広告を見るユーザーが快適にサービスを使えるよう、広告の表現やリンク先のページの情報についても細かなルールが取り決められています。
広告の内容や文字数や画像サイズの要件、リンク先のページの機能や内容など、技術要件やコンテンツの要件も守る必要があります。
- 編集基準と表現:https://support.google.com/adspolicy/answer/6021546
- リンク先の要件:https://support.google.com/adspolicy/answer/6368661
- 技術要件:https://support.google.com/adspolicy/answer/6088505
- 広告フォーマットの要件:https://support.google.com/adspolicy/topic/6021648
媒体による審査の基準
上記はGoogleの例になりますが、広告ポリシーやガイドラインは媒体ごとに若干異なり、同じ商品や商材の広告を行う際にも、審査の厳しさが違う事がありますので注意しましょう。
例えばGoogleでは配信ができてもYahooではできない。またその反対などもあります。
全く個人的な見解ですが、Yahoo広告は母体が日本法人になる為、日本の法律に対するルールが明確で、他媒体より厳格な印象があるため、審査対策について、不安な場合はYahoo広告のポリシーを基準にしてみるのもよいでしょう。ポリシーに関するヘルプページの表記も明確で、お問合せ対応でもわかりやすい印象があります。
(Googleは公平を期すために、審査情報については公表されていないことや、世界基準の為、少しわかりにくい印象があります。こちらも個人的な見解です。)
なお、審査の基準は、法の改正や、業界や社会情勢によっても変わりますし、業界や媒体としてのユーザビリティに関わる部分については、システムのアップデートの際などにも見直しも行われる可能性があるため、いつも同じ審査基準になっていると思わずに、常に媒体のヘルプページをチェックしていくようにしましょう。
Googleの広告の場合、ポリシーのヘルプページの「変更ログ」を確認するなどがおすすめです。
広告審査の仕方
Google広告やYahoo広告の場合、広告の審査をする為には特に手続きは必要がなく、広告クリエイティブやキーワードなどを入稿したタイミングで自動で審査が行われます。
広告の審査は、初めて入稿した時だけでなく、広告やキーワードを編集をした際になどにも、そのつど審査が行われ、 配信設定がオンになっていれば、審査が終わった時点で自動的に広告の配信が始まります。 (一時停止にしていても審査対象となりますがオンにするまで配信はされません。)
また、入稿時だけでなく、配信後も審査の見直しが行われています。配信後の審査については、どのようなルールに基づいているか、またその頻度についても全くわかりませんが、定期的に行われている可能性が高いため、商材によっては、昨日まで配信できていたけれど、急に審査落ちししてしまうという事も考えられるので、定期的に配信ができているかチェックしたり、アラートメールを設定し確認しましょう。
参考ページ:通知設定
https://support.google.com/google-ads/answer/1704338?
※Yahooはデフォルトで、管理者にメールが配信されていると思います。
審査にかかる時間
審査にかかる時間は、媒体によっても異なりますが、 Googleのリスティング広告の場合、数時間~1営業日以内には、結果が解る事が多いです。
ディスプレイ広告の場合、もう少しかかる場合もあり、1~3営業日を目安にするとよいでしょう。
また、Yahoo広告の場合も概ね同じくらいですが、 初めてアカウントを作成した場合や、審査に注意を要するような商材の場合は1~3営業日と少し長くかかる事があります。
それ以上の時間がかかっている場合は何らかのトラブルが発生していることもありますのでヘルプデスクに確認することもおすすめです。
なお、Google/Yahooどちらの媒体でも、掲載日が決まっている広告を配信する場合などは、審査の時間を見込んで早めの設定がおすすめです。特に、お盆休みやお正月休みなど大型連休などがある場合は、審査が混みあって時間がかかることがあります。休み明けすぐの配信開始の場合などは、想定よりも遅れる事があるので、十分注意しましょう。
※媒体のヘルプページにお知らせが出ている事があるので、大型の休みの前に審査にかかる日程をしっかりチェックしておきましょう。
審査の結果の確認方法
Google広告の場合、審査のステータスは広告やキーワードのステータス欄に表示されます。
Googleの審査のステータス
- 承認・・審査に通過して広告の配信が可能
- 審査中・・審査中
- 不承認・・審査に落ちて、広告掲載が不可
- 承認済み(制限付き)・・広告ポリシーに準拠しているものの、ターゲットにや表示できる場所に制限がある商材やコンテンツ
不承認になってしまった場合
不承認になってしまった場合、広告やキーワードのステータス欄をクリックすると、不承認の理由と、その理由に関連するヘルプページが表示されますので確認して修正しましょう。そのまま修正をして保存すると自動で再審査がかかります。
なお、ヘルプページを確認しても原因がよく分からない場合や、審査自体に問題があると思う場合、媒体のヘルプに問い合わせをすることがおすすめです。(再審査請求をかけるだけであれば、ステータス欄から直接請求をかけることが可能です)
ちなみに、審査に対する問い合わせ対応についても媒体によって異なります。Googleの場合は、審査の公平性を保つために審査情報は公開されていない為、修正箇所についてはヒントになるような形で教えてもらえることが多いですが、Yahooの場合は、そもそもの審査のルールが明確なためか、修正箇所を比較的ピンポイントで教えてくれる傾向があるように思います。
これらもあくまでも主観ですので、まずお問合せをして、ヘルプの方の言う通りに修正をしてみるのがおすすめです。
また、まれに、ヘルプなどに確認して正しく修正を行っているのに関わらず、上手くエラーが解消されなかったり、審査が落ちてしまう事がありますが、 その際は、同じ広告を複製したり、新しく作り直す事で再度審査をかけることで解消される事がありますので、試してみましょう。(なお、不承認になった不要な広告は放置せず一時停止にするとか、削除したほうがいいと聞いたことががありますが、これも都市伝説かもしれません)
審査における注意点
再審査は簡単にできますが、悪質な違反行為を行ったり、繰り返しの違反を起こしてしまうと、ペナルティが発生することがあります。最悪の場合、アカウント自体が停止になったり、広告の再開が難しくなる場合もあるため、十分に注意しましょう。
ただ、実際の問題として、審査のリスクが多い商材の場合は、実際に広告を配信するまで審査に通るかどうかは分からないことが多いです。
その為、LPの設計段階から、広告ポリシーに対する対応をしていく必要があり、また、実際に広告を配信してからも、審査状況に応じて修正を加えていく必要が出てくる事も考慮しておく必要があります。広告とLP制作の連携が取れている制作会社を選ぶことがおすすめです。
おわりに
今回は、広告ポリシーと審査について簡単にご説明しました。法律も絡んでくるデリケートな内容なのであまり確実な情報がない状況です。
ここに記載した内容もすぐに変わってしまう可能性もあり、あくまでも参考にしていただく事しかできませんが、広告審査が心配な方のお役に立てれば幸いです。
次回、もう少し掘り下げて、広告審査で承認が下りにくい商材や、審査のポイントなどをもう少し詳しく記載できればと思いますのでお待ちください。