クロスバズのベコです。
前回は、広告審査の概要について触れましたが、今回はWEB広告において「医療広告」を運用する際のポイントについて、 「医療法」 と厚生労働省が公開している「「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(医療広告ガイドライン)」を使って解説していきたいと思います。
法律の専門家ではないため超意訳にはなりますが、何となくポリシー対応している方や、これから医療広告やりたい方の為に、医療広告の規制についてザックリ理解したい方に参考に頂けますと幸いです。
※こちらの記事は、あくまでも参考として読んでいただき、法律的な内容については「医療法」や「医療広告ガイドライン」をご確認頂き、法律の専門の方のアドバイスのもとに進めて頂けますと幸いです。
目次
医療広告はなぜこんなに厳しいの
医療広告を行う際に避けては通れない広告規制。
「なんでこんなに厳しいんだ。」と思う方も多いと思いますが、医療広告ガイドラインに下記のように記載されています。
- 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。
- 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサー ビスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)」 2 基本的な考え方より
このように、医療広告がユーザーに与える影響の大きさから法律によって規制されていることがわかります。
まずは、医療広告が与えるユーザーへの影響を十分に理解しつつ、サービスの魅力を正しく伝える為、医療広告に関わる法律をしっかり理解していきましょう。
医療広告に関係する法律
医療広告については、主に医療法 第六条の五と、医療法施行規則 省令第1条の9などの法律によって取り決められています。(その他薬機法など)
また、これらの法律をもとに、医療広告の具体的な方法についてまとめたものが、厚生省の発行する「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」(以下医療広告ガイドラインと記載)になります。
WEBにおける医療広告
医療広告の中でもWEB広告の規制については、インターネットの普及に合わせて大きく変化しています。
平成23年には「ホームページに対するガイドライン」のみだったウェブサイトへのルールが、相談件数の増加から、平成29年からは、他の広告媒体と同様に規制の対象となるなど、広告の規制の範囲が広がり、それと同時に、ウェブの利用者数も増加していることから、ウェブサイトの情報規制を強めすぎる事で、患者等が求める情報を得難くなる可能性があることを考慮し、要件を満たした広告については一部、広告可能事項の限定解除を行うなどの緩和措置もとられています。
また、令和3年に医療広告ガイドラインも改訂されています。
このように、ウェブ広告に対する規制は広がりつつも緩和の方向に進んでいる傾向もあります。
では、実際、医療広告にはどのような取り決めがあるか、医療法からを見ていきましょう。
医療法 第六条の五 第一項
医療広告については、まず、医療法 第六条の五の第一項で、「広告規制の対象について」と「虚偽の広告をしてはならない」と定められています。
第六条の五 何人も、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して、文書その他いかなる方法によるを問わず、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示(以下この節において単に「広告」という。)をする場合には、虚偽の広告をしてはならない。
「医療法 第六条の五の第一項」より抜粋
ここでは、「何人(広告に関わる全ての人)」規制対象になることと、規制の対象となる「広告の定義」、「虚偽」の広告をすることを禁止しています。
この、「何人」はポイントで、実際に広告を作った代理店や制作会社だけではなく、広告主としての医療機関や医療従事者、広告に関わった場合は「患者さん」も規制の対象となる為、十分注意しましょう。
医療法 第六条の五 第二項
次に、医療法 第六条の五 第二項で、ユーザーが適切な選択ができるように、第一項で虚偽の広告を禁じた上で更に禁止項目を設定し「広告の基準となるもの」として示しています。
具体的には、「比較優良広告」、「誇大広告」、「公序良俗に反する内容の広告」を禁止しています。
2 前項に規定する場合には、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を阻害することがないよう、広告の内容及び方法が、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告をしないこと。
二 誇大な広告をしないこと。
三 公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告をしないこと。
四 その他医療に関する適切な選択に関し必要な基準として厚生労働省令で定める基準
「医療法 第六条の五の第二項」より抜粋
なお、第二項の四については、「医療法施行規則 省令第1条の9」で更に基準が定められています。
具体的には、「体験談やお客様の声」、「ビフォアー・アフター画像」の禁止といった取り決めがされています。
第一条の九 法第六条の五第二項第四号及び第六条の七第二項第四号の規定による広告の内容及び方法の基準は、次のとおりとする。
一 患者その他の者(次号及び次条において「患者等」という。)の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告をしてはならないこと。
二 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告をしてはならないこと。
「医療法施行規則 省令第1条の9」より抜粋
医療法 第六条の五 第三項
医療法第六条の五第三項では、広告として掲載可能な15項目について記されています。
また、同時に「医療を受ける者による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合として厚生労働省令で定める場合を除いて」と前置きの上、15項目以外でも広告をしてよい場合があることに触れています。
この、例外に当たる部分は、医療広告ガイドラインにて、広告可能事項の限定解除要件として説明されています。
3 第一項に規定する場合において、次に掲げる事項以外の広告がされても医療を受ける者による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合として厚生労働省令で定める場合を除いては、次に掲げる事項以外の広告をしてはならない。
一 医師又は歯科医師である旨
二 診療科名
三 当該病院又は診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項並びに当該病院又は診療所の管理者の氏名
四 診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無
五 法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である場合には、その旨
六 第五条の二第一項の認定を受けた医師である場合には、その旨
七 地域医療連携推進法人(第七十条の五第一項に規定する地域医療連携推進法人をいう。第三十条の四第十二項において同じ。)の参加病院等(第七十条の二第二項第二号に規定する参加病院等をいう。)である場合には、その旨
八 入院設備の有無、第七条第二項に規定する病床の種別ごとの数、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の員数その他の当該病院又は診療所における施設、設備又は従業者に関する事項
九 当該病院又は診療所において診療に従事する医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴その他の当該医療従事者に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
十 患者又はその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の当該病院又は診療所の管理又は運営に関する事項
十一 紹介をすることができる他の病院若しくは診療所又はその他の保健医療サービス若しくは福祉サービスを提供する者の名称、これらの者と当該病院又は診療所との間における施設、設備又は器具の共同利用の状況その他の当該病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項
十二 診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供、第六条の四第三項に規定する書面の交付その他の当該病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項
十三 当該病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項(検査、手術その他の治療の方法については、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるものに限る。)
十四 当該病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数その他の医療の提供の結果に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
十五 その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項
「医療法 第六条の五の第三項」より抜粋
15項目だけでは広告にならない場合もありますので、この、例外の部分にあたる。広告可能事項の限定解除の対象になるよう対応していくことがおすすめです。
その他の法律
また、医療法以外にも、医療広告に関連性のある広告として「医薬品医療機器等法」
「健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)」「景表法」なども広告をする上で注意するべき法律となります。
以上が医療法の医療広告について記載されている部分となりますが、実際にどのような広告をしていけばよいのかわかりにくい部分が多いと思います。このような医療広告に関わる法律に対する指針を具体的に示したのが 「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)」 です。
医療広告ガイドライン
医療広告ガイドラインの内容
厚生労働省の発行する「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)」 は、医療法の第六条の五やその他医療広告に関わる法律に則って、医療広告の規制趣旨や広告規制の対象範囲、広告可能な事項や禁止項目について詳しくまとめたものになります。
具体的な項目については以下の通りです。
- 第1 医療広告規制の趣旨
- 第2 広告規制の対象範囲
- 第3 禁止される広告について
- 第4 広告可能な事項について
- 第5 広告可能事項の限定解除の要件等
- 第6 相談・指導等の方法について
- 第7 助産師の業務又は助産所に関する広告について
「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 (医療広告ガイドライン)」 より
この中で、医療広告規制の趣旨については、「医療に関する法律」の項目の説明で行いましたので、それ以外の項目で、WEB広告を行う上でのポイントをかいつまんでご説明します。
医療広告の対象範囲
広告の対象の媒体
医療広告ガイドラインでは、医療広告に関わる媒体について説明されており、その中でウェブ広告に関わる媒体については下記のように書かれています。
「情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上の広告等)」
「医療広告ガイドライン」4 広告に該当する媒体の具体例
インターネット上の広告とありますが、リスティングの検索画面に出る広告やバナー広告、動画広告などだけでなく、広告の遷移先のLPも対象になります。
なお、別の項目でも「病院等が自らのウェブサイト等に掲載する治療等の内容又は効果に関する体験談についても、誘因性や特定性がある為、広告に該当する」とありますので、ウェブサイトも対象になるので十分注意しましょう。
広告の対象となる人
「何人も広告規制の対象とされるもの」であるとして、例として下記を挙げています。
- 医師若しくは歯科医師又は病院等の医療機関
- マスコミ
- 広告代理店
- アフィリエイター
- 患者又は一般人等(病院から依頼、謝礼を受けて広告に関わっている場合)
- 日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告(海外から発送され るダイレクトメールやEメール等)
広告作った制作会社や広告代理店だけでなく、広告主である医療機関や、医療機関から報酬をもらって体験談を書いた場合などは患者までも、広告規制の対象になるため注意が必要です。
広告の対象にならないもの
広告の対象とならないものとして、医療広告ガイドラインでは挙げられているものについては下記となります。
- 学術論文、学術発表等(但し学術論文を装って誘因する行為は不可)
- 新聞や雑誌等での記事(但し、記事を装った広告は不可)
- 患者等が自ら掲載する体験談、手記等(依頼に基づく手記であったり、病院から金銭等の謝礼を受けている場合は広告とみなす、病院の経営に関与する者の家族等の場合も広告とみなされる)
- 院内掲示、院内で配布するパンフレット等(既に受診している患者等に限定されるため可能)
- 医療機関の職員募集に関する広告 (求人募集の広告は可能)
例えば、新聞記事は誘引性が低い為、広告はみなされないですが、記事を装った医療広告の規制対象となり、医療機関の求人の広告については、医療広告規制の対象とはなりません。
実質的に広告と判断される内容 (規制対象になるもの)
広告の定義
医療広告として定義されるものには、「誘因性」「特定性」の2つの条件があります。
規制の対象となる「広告」の定義
① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
「医療広告ガイドライン」第2 広告規制の対象範囲 1 広告の定義、2 実質的に広告と判断されるもの
「誘因性」とは、広告からお客様を誘引する目的があって書かれていること。「特定性」は、病院名など病院や医療従事者が特定できる内容がかかれていること、となります。
なお、特定性については、住所、電話番号及びウェブサイトのアドレス等から一般人が容易に病院等を特定できるような場合や、複数の提供者又は医療機関を対象としている場合も該当します。
この定義をかいくぐり、広告の規制対象にならないように、間接的な表現を使うなど、回避策を講じる事については、厳重に注意喚起されています。
規制対象:誘因性や特定性を回避させようとするもの
「広告の対象になりません」「これは、取材に基づく記事であり、患者を誘引するものではありません。」と記載があるが、病院名が記載されている | 掲載不可 |
「医療法の広告規制のため、具体的な病院名は記載できません。」とあるが、電話番号やウェブサイトのアドレスが記載されている | 掲載不可 |
新しい治療法に関する書籍などで、「当該治療法に関するお問い合わせは、○○研究会へ」と書籍などでは、病院は特定されていないが、実際に問い合わせると特定の病院へ斡旋される | 掲載不可 |
新聞記事にみせかけた記事風広告 (医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているもの) | 掲載不可 |
患者等に広告と気付かれないように行われる、ステルスマーケティング(医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼) | 掲載不可 |
規制対象:間接的な表現
表現についても、直接的な表現だけではなく、間接的に伝えた内容からも広告と判断されることがあります。
例えば、病院名やメールアドレスに広告掲載不可の内容を掲載したり、記事の引用や専門家、有名人の起用など、間接的に広告規制につながる内容を広告することも禁止されています。
アンチエイジングクリニック又は(単に)アンチエイジング | アンチエイジングは診療科名として認められていない | 掲載不可 |
最高の医療の提供を約束! | 「最高」は最上級の比較表現であり、認められない。 | 掲載不可 |
新聞が特集した治療法の記事を引用するもの | 「治療の内容」の範囲であり、改善率等の広告が認 められていない事項が含まれていない場合には、引用可能 | 掲載可能 |
病院の建物の写真 | 当該病院の写真であれば、広告可能である(他の病院は不可) | 掲載可能 |
病人が回復して元気になる姿のイラスト | 回復を保障すると誤認を与えるおそれが あり、誇大広告に該当するので、 | 掲載不可 |
雑誌や新聞で紹介された旨の記載 | 自らの医療機関や勤務する医師等が新聞や雑誌等で紹介された旨は、広告可能な事項ではない | 掲載不可 |
専門家の談話を引用するもの | その内容が保障されたものと著しい誤認を患者等に与えるおそれがある | 掲載不可 |
医薬品医療機器等法上の未承認医薬品を使用した治療 の内容 | 広告可能な事項ではなく、広告は認められない | 掲載不可 |
① www.gannkieru.ne.jp ガン消える(gannkieru)などのURLやnolhospi@xxx.or.jp (NO1に見える) | ガン消える(gannkieru)を想起させるので誇大広告り、日本一を連想させる為、比較優良広告に該当 | 掲載不可 |
広告可能事項の限定解除について
では、次に、実際に広告に掲載できる内容のご説明の前に、広告の限定解除についても触れておきたいと思います。
広告可能事項の限定解除とは、 一定の要件を満たした場合に限り、 医療法第6条の5第3項で広告可能とされている事項以外に、広告可能な事項を限定的に解除できる(ざっくりいうと広告して良い)というものです。
医療広告の規制により、患者等が医療サービスを選択する際の情報を得にくくなることを防ぐ目的があり、限定解除には要件が定められています。
法第6条の5第3項の規定により、法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外は、広告してはならないこととされているが、同項の規定により、患者等が自ら求めて入手する情報については、適切な情報提供が円滑に行われる必要があるとの考え方から、省令第1条の9の2に規定する要件を満たした場合、そうした広告可能事項の限定を解除し、他の事項を広告することができる(以下「広告可能事項の限定解除」とう。)。なお、こうした広告可能事項以外の事項についても、法第6条の5第2項及び省令第1条の9に定める広告の内容及び方法の基準に適合するとともに、その内容が虚偽にわたってはならない。
医療広告ガイドライン 第5 広告可能事項の限定解除の要件等 1 基本的な考え方より
限定解除の要件をクリアしても、「第6条の5第2項及び省令第1条の9に定める広告の内容及び方法の基準に適合するとともに、その内容が虚偽になっていてはいけない」というルールは守る必要がありますが、広告ができる範囲が広がるのでチェックしておきたい項目です。
限定解除の要件としては下記となります。
限定解除の要件
広告可能事項の限定解除の要件として、以下の①~④のいずれも満たした場合に限定解除が認められます。
③及び④については自由診療について情報を提供する場合に限ります。
① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
保険診療については①と②の要件が必要になり、自由診療の場合は、広告可能事項の限定解除要件①~④を満たし、かつ禁止される広告※に該当しない場合に限って、広告可能事項に該当するか否かによらず広告できるとなっています。 (そもそも、自由診療については、一部の例外を除いては「広告可能事項には該当しないため原則として広告はできない」ため、 保険診療として実施されるものとは異なり要件が厳しくなります。)
※禁止される広告: 第6条の5第2項及び省令第1条の9に定める広告の内容及び方法の基準に適合するとともに、その内容が虚偽になっていてはいけません。
それぞれの要件については下記となります。
限定解除要件(保険診療の場合も必須になる要件)
限定解除要件 ①
医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト、その他これに準じる広告であること
これまで認知性(一般人が認知できる状態にあること)がないために医療広告の規制の対象とされていなかった ウェブサイトの他、メルマガ、患者等の求めに応じて送付するパンフレット等が対象になります。
①限定解除要件 | 限定解除要件として認められない |
---|---|
ウェブサイトの他、メルマガ、患者等の求めに応じて送付するパンフレット | リスティング広告やバナー広告のクリックは「患者が自ら求めて入手する情報」には該当しません。 |
限定解除要件②
表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第2版) より
表示される医療サービスの情報の内容について、電話番号、E メールアドレス等の問い合わせ先が明示されていること等により、患者などの情報を探している人から容易に照会が可能になることで、医療機関から情報を得やすくする必要があります。
②限定解除要件 | 限定解除要件として認められない |
---|---|
・問い合わせ先として、電話番号、Eメールアドレス等を明示する | ・問い合わせ先の記載がなく、情報を知りたいと思った患者などが問合せができない(しにくい) |
自由診療の場合に必要とされる限定解除要件
保険診療として実施されるものとは異なり、 自由診療はその内容や費用が医療機関ごとに大きく異なり得るため、その内容を明確化する必要があるため、限定解除要件の③と④も掲載が必要となります。
まず、料金等に関するトラブルを防止する観点から、医療機関で実施している治療等を紹介する場合には、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間及び回数を掲載し、患者等に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供する必要があります。
また、自由診療に関しては、その利点や長所のみが強調され、その主なリスク等についての情報が乏しい場合には、医療機関を受診する者が適切な選択を行うことができないおそれがあるため、利点のみの強調を避け、リスクや副作用についても、利点と同じように十分提供する必要があります。
注意事項
- 治療等の名称や最低限の治療内容・費用だけではなく、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間及び回数を掲載し、必要な情報を十分に提供する
- 利点等のみを強調せず、主なリスクや副作用などの情報に関しても分かりやすく掲載する
- 上記の内容を記載する際、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこと。
明示する必要項目
- 通常必要とされる治療内容
- 標準的な費用
- 治療期間及び回数
- 主なリスク・副作用
- 未承認医薬品を使っている場合は
- 「未承認医薬品等であること」「入手経路等」「国内の承認医薬品等の有無」「諸外国における安全性等に係る情報」
限定解除要件③ (自由診療の場合必須)
通常必要とされる治療内容 、標準的な費用、治療期間及び回数 を明示することが必須になります。
自由診療は保険診療として実施されるものとは異なり、その内容や費用が医療機関ごとに大きく異なり得るため、その内容を明確化し、料金等に関するトラブルを防止する観点から、当該医療機関で実施している治療等を紹介する場合には、治療等の名称や最低限の治療内容・費用だけを紹介することにより患者等を誤認させ不当に誘引すべきではなく、通常必要とされる治療内容、標準的な
費用、治療期間及び回数を掲載し、患者等に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供すること。
標準的な費用が明確でない場合には、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額(発生頻度の高い追加費用を含む。)までの範囲を示すなどして可能な限り分かりやすく示すこと。
また、当該情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこと。
医療広告ガイドライン 2 広告可能事項の限定解除の具体的な要件より
治療内容の明示:自由診療の場合は、「通常必要とされる治療内容」を明示する必要があります。
限定解除が許可される場合(治療内容の明示) | 限定解除が許可されない |
---|---|
・治療内容を適切かつ十分に記載する 例: 治療内容 治療の流れなど | ・通常必要とされる治療内容が記載がない。 または、国民や患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供していない ・具体的な治療等の内容が記載されていない |
費用の明示:自由診療の場合は、「 標準的な費用 」を明示する必要があります。
限定解除要件(費用の明示) | 限定解除要件として認められない |
---|---|
・通常必要とされる標準的な金額を記載する ・標準的な費用または最低金額 から最高金額を記載する ・別途発生する費用や内訳を記載する 例: 総額(○○の治療の場合※○○を除く費用) 200,000円~300,000円 内訳として、治療名、内容、金額を明記 最低金額から最高金額を記載 | ・「標準的な費用」が記載されていない。または、国民や患者に対して適切かつ十分な情報 を分かりやすく提供していない ・最低金額のみが記載されている ・別途発生する費用が小さな文字で記載されており、具体的な 金額の明示もない |
治療回数の明示:自由診療の場合は、「治療期間及び回数」を明示する必要があります。
限定解除が許可される場合(治療期間及び回数の明示) | 限定解除が許可されない |
---|---|
・通常必要とされる治療期間及び回数を記載する 例: 治療期間:3~6か月 治療回数:5~6回 | ・治療期間及び回数の記載がない。または、国民や患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供していない ・治療等の内容に関連した記載自 体はあるものの、不十分である ・最低限の治療期間及び回数し か記載されていない ・治療期間しか記載されていない |
限定解除要件④ (自由診療の場合必須)
副作用やリスクについて明示する必要があります。
自由診療に関しては、その利点や長所のみが強調され、その主なリスク等についての情報が乏しい場合には、当該医療機関を受診する者が適切な選択を行うことができないおそれがあるため、利点等のみを強調することにより、患者等を誤認させ不当に誘引すべきではなく、患者等による医療の適切な選択を支援する観点から、その主なリスクや副作用などの情報に関しても分かりやすく掲載し、患者等に対して適切かつ十分な情報を提供すること。
また、当該情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこと。
医療広告ガイドライン 2 広告可能事項の限定解除の具体的な要件 より
リスク・副作用の明示:自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
限定解除要件④(リスク・副作用の明示) | 限定解除要件として認められない |
---|---|
「主なリスクや副作用」が記載されていない、または国民や患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供していない 治療における主なリスク、副作用等が記載されていない 治療における主なリスク、副作用等が十分に記載されていない 長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載している | 治療における主なリスクや副作用を記載する 治療における主なリスク、副作用等を十分に記載する 長所等の他の情報と同様にリスクを記載する |
未承認医薬品を使っている場合
自由診療の広告に必要となる通常の限定解除要件のほかに、未承認医薬品等または、承認されている薬品を承認されている効能効果以外に使用している場合は、未承認医薬品に関する要件についても十分に情報提供する必要があります。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する我が国の法律において、承認等されていない医薬品・医療機器、あるいは、承認等された効能・効果又は用法・用量が異なる医薬品・医療機器を用いた治療については、「未承認医薬品等であること」「入手経路等」「国内の承認医薬品等の有無」「諸外国における安全性等に係る情報」を明示する必要があります。
医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第2版)
未承認医薬品を使用している場合や承認されている薬品を異なる効能や効果として使用する場合:
④限定解除要件 | 限定解除要件として認められない |
---|---|
・「未承認医薬品等であること」「入手経路等」「国内の承認医薬品等の有無」「諸外国における安全性等に係る情報」を記載する ・「国内の承認医薬品等の有無」について、同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等がある場合は、その情報を記載する ・未承認医薬品等この治療で使用される〇〇は医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医療機器です。 ・入手経路等や入手先情報 ・ 国内の承認医薬品等の有無 ・諸外国における安全性等に係る情報 | ・「未承認医薬品等であること」「入手経路等」「国内の承認医薬品等の有無」「諸外国における安全性等に係る情報」が記載されていない |
承認されている薬品の場合も、承認内容と異なる目的で利用する場合は、未承認の目的での使用については、承認等された効能・効果又は用法・ 用量とは異なることを明示する | 承認された効能・効果と異なる目的で医薬品等を使用しているにもかかわらず「医薬品の承認」「入手経路等」「国内の承認医薬品等の有無」「諸外国における安全性等に係る情報」が記載されていない |
参考:限定解除例
医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第2版) をもとに、どのような内容を記載するべきか例を紹介します。(上記の書類はとても分かりやすいのでおすすめです!)
自由診療以外の場合の限定解除例
限定解除が許可される場合 | 限定解除が許可されない場合 |
---|---|
限定解除許可に必要な項目を満たす事で、右下の項目が広告可能になる | 下記のような広告可能事項に該当しないものは、原則として広告できない |
【必要項目】 ・メールアドレス・電話番号を記載する ※広告可能事項の限定解除要件に係る情報を十分に記載する必要がある ※限定解除の要件を満たすためには、医療広告ガイドラインp.31の広告可能事項の限定解除要件の①②の記載を満たすことが必要である。 (自由診療の場合は、これに加え限定解除要件の③④を満たす必要がある。) | ・厚生労働大臣が届出を受理していない団体が認定する専門性資格を有する旨 ・専門外来など表記 ・法令上の根拠のない診療科名の記載 ・特定医師のキャリアとしての手術件数・自らの医療機関に勤務する医師が紹介されたメディア記事の記載 |
自由診療の場合の限定解除例
限定解除が許可される場合 | 限定解除が許可されない場合 |
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・治療内容を適切かつ十分に記載する 例: 治療内容 治療の流れなど | ・通常必要とされる治療内容が記載がない。または、国民や患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供していない ・具体的な治療等の内容が記載されていない |
・通常必要とされる治療期間及び回数を記載する 例: 治療期間:3~6か月 治療回数:5~6回 | ・治療期間及び回数の記載がない。または、国民や患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供していない ・治療等の内容に関連した記載自体はあるものの、不十分である ・最低限の治療期間及び回数しか記載されていない ・治療期間しか記載されていない |
・通常必要とされる標準的な金額を記載する ・標準的な費用または最低金額 から最高金額を記載する ・別途発生する費用や内訳を記載する 例: 総額(○○の治療の場合※○○を除く費用) 200,000円~300,000円 内訳として、治療名、内容、金額を明記 最低金額 から最高金額を記載 | ・「標準的な費用」が記載されていない。 または、国民や患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供していない ・最低金額のみが記載されている ・別途発生する費用が小さな文字で記載されており、具体的な金額の明示もない |
・治療における主なリスクや副作用を記載する ・治療における主なリスク、副作用等を十分に記載する ・長所等の他の情報と同様にリスクを記載する | ・「主なリスクや副作用」が記載されていない。または国民や患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供していない ・治療における主なリスク、副作用等が記載されていない ・治療における主なリスク、副作用等が十分に記載されていない ・長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載している |
おわりに
今回は、医療広告に関わる法律についてや、医療広告の規制の対象についてや、限定解除の内容について簡単にご説明しました。
医療広告については、患者さんやご家族など、医療サービスを探されている方への影響をしっかりと認識しつつ、医療サービスについて正確に情報を伝える為に、法律について知っておく必要があると感じています。
表現が難しく、完全に正確な解説にはなっていない部分もあるかもしれませんが、少しでも理解を深める事のお手伝いになれば幸いです。
次回は、より具体的に、広告の表現として使用できるものや禁止されている項目についてご説明できればと思います!