Webマーケティングの分野では、「コンテンツマーケティング」「SEO」「コンテンツSEO」など似たような言葉が多く存在し、違いがよくわからないとお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
コンテンツマーケティングは、コンテンツを活用して売上に結びつく仕組みを構築するための活動全般を意味します。対して、SEOの主な目的は検索エンジンに評価されるサイトを構築し、ユーザーに価値あるコンテンツを提供することです。
コンテンツマーケティングとSEOを混同すると、目標設定や施策の成果に結びつきにくくなる恐れがあるため、違いと成功のポイントを理解して実施することが重要です。
この記事では、コンテンツマーケティングとSEOの違いを基礎から解説し、それぞれの重要性や混同するデメリット、成功のポイントもご紹介します。
目次
コンテンツマーケティングとSEOの基礎知識
コンテンツマーケティングとSEOの違いを説明する前に、まずはそれぞれの基礎から確認しておきましょう。
なお、言葉の定義は企業やメディアによって異なることもあるため、一般的な概念として参考にしていただけると幸いです。
コンテンツマーケティングとは
一般的に、コンテンツマーケティングとは、価値あるコンテンツを提供することでユーザーの考え方や意識を変化させ、売上に結びつける仕組みを構築する活動全般を意味します。
見込み客に対して必要な情報を提供することで、コンバージョンや購買を促進することから、インバウンドマーケティングの一種ともいえます。
コンテンツマーケティングは、大きく「デジタルマーケティング」と「オフラインマーケティング」に区分できます。
デジタルマーケティングとは、Webサイト、ランディングページ(LP)、ソーシャルメディア、モバイル、メール、デジタル広告、ホワイトペーパー、CRM活用など、さまざまなデジタル手段を活用したマーケティング戦略です。
対してオフラインマーケティングは、オフラインの媒体やツール・場所を活用したマーケティングです。電話・印刷物のダイレクトメール・雑誌への広告出稿・イベント開催、テレビCM、ポスターなどが該当します。
Webマーケティングはデジタルマーケティングの一つであり、Webに限定したコンテンツSEO・アンケート・メルマガなどが手段としてあげられます。
SEOとは
SEOは、「Search Engine Optimization(検索エンジン最適)」の略称です。SEO対策は、Googleなどの検索エンジンに高く評価されるサイトを構築することで検索上位表示を目指し、WebサイトやLPのアクセス数を増やすための対策です。
SEOは、「テクニカルSEO」と「コンテンツSEO」に分けられます。テクニカルSEOは技術的なSEO対策を指し、具体的な施策としてプログラミング言語の適切な記述などがあげられます。
コンテンツSEOは、コンテンツや記事の品質向上を通じて上位表示を目指すSEO対策です。質の高いコンテンツを提供するという点では、検索をタッチポイントとしたコンテンツマーケティングの一種ともいえます。
コンテンツマーケティングとSEOの違い
続いて、コンテンツマーケティングとSEOの違いを比較していきましょう。両者の主な違いは、以下の表の通りです。
項目 | コンテンツマーケティング | SEO |
---|---|---|
目的 | 成果の促進 | 検索上位表示によるアクセス数増加 |
ターゲット層 | 見込み客(潜在層・顕在層)、既存顧客 | 見込み客(潜在層) |
手法 | ターゲットのニーズを満たす、価値あるコンテンツの提供 | 検索意図に応えるコンテンツの提供 |
チャネル(流入媒体・経路) | 自然検索・広告・SNS・メルマガなど | 自然検索 |
ここでは、4つの項目の違いについて解説します。
目的の違い
コンテンツマーケティングの目的は、ユーザーに価値あるコンテンツを提供し、成果(コンバージョン)を獲得することです。成果地点は、集客や販売促進、PR、顧客情報の収集などさまざまです。
一方で、SEOの目的は検索エンジンで上位表示され、サイトやLPへのアクセス数を増加させることです。Googleなどの検索エンジンの指標や、ユーザーニーズに対応するようなコンテンツを作成し、検索上位を目指します。
ターゲット層の違い
コンテンツマーケティングとSEOは、どちらも顧客になる前の見込み客を対象にしていますが、厳密にはターゲット層が異なります。
コンテンツマーケティングのターゲット層は、見込み客の中でも、ニーズがある程度顕在化している層を対象とするケースが多いです。すでに商品やサービスを認識しており、比較検討中のユーザーなど、購入・導入する可能性が高い層を対象とします。
また、既存顧客も対象となり、継続的に接点をもつことで良好な関係を築き顧客満足度を高めるほか、商品のアップセルやクロスセルのように、グレードアップや別の商品も購入してもらう施策につなげることもあります。
SEOのターゲット層は、検索エンジンで検索をしているユーザーに限定されます。特定のキーワードで検索するユーザーを対象とし、興味をもっている初期段階や、他社との比較のための情報収集を行っている段階が想定されます。
手法の違い
コンテンツマーケティングとSEOのどちらも、ユーザーに有益なコンテンツを届けることが重要である点は共通しています。
しかし、SEOでは検索意図に応えるコンテンツを提供するのに対し、コンテンツマーケティングでは、ユーザーニーズをより深く広く捉えた施策を行うことが必要です。
コンテンツマーケティングの手法として、例えば複数の媒体を活用し、広範な情報提供を行うことや、オウンドメディアやメルマガなど対象を絞り、ニーズを深掘りしたコンテンツを提供するといった方法もあります。
一方で、SEOではユーザーの検索意図を満たすコンテンツを増やし、Webサイトの全体的な品質向上を図ることで検索上位を目指すことが基本的な手法となります。
チャネル(媒体・流入経路)の違い
チャネルとは、マーケティング用語で集客のための媒体や流入経路を意味します。
コンテンツマーケティングのチャネルは、検索エンジン・SNS・メルマガ・プレスリリースなど多岐にわたります。
SEOは検索エンジンからの流入に焦点を当てているため、チャネルは検索エンジンの自然検索のみとなります。
コンテンツマーケティングとSEOの重要性
さまざまなマーケティング手法がある中で、なぜコンテンツマーケティングやSEOが注目されているのでしょうか。それぞれが重要視されるようになった背景を見ていきましょう。
コンテンツマーケティングの重要性
コンテンツマーケティングが重要な理由として、大きく次の2つがあげられます。
- 情報収集方法や消費行動の変化に対応するため
- インターネット広告費の高騰
近年の情報化により、ユーザーは自ら情報収集を行う傾向にシフトしてきており、従来型の企業からの一方的な商品アピールだけでは、潜在顧客の獲得が難しくなっています。
そのため、企業はコンテンツを通じて有益な情報を提供し、ユーザーのニーズに応えることで、信頼関係を築く必要があります。
また、インターネット広告費が高騰する中で、コンテンツマーケティングはブランディングや集客の新たな手段となり、広告費用を抑えつつ中長期的な費用対効果を向上させる施策として期待されています。
SEOの重要性
SEOの重要性として、次の2つがあげられます。
- 検索エンジンから自然流入を増やすため
- サイトの権威性を高めるため
コンテンツマーケティングの一つである「自然流入」を増やすためには、対策キーワードでの上位表示を保つ必要があります。SEO対策を実施して検索上位表示を保つことで、広告費用をかけることなく継続的にアクセスを集めることが可能になります。
また、上位表示は「信頼性」や「権威性」を築く上での重要な要素の一つです。継続的な上位表示によって多くのアクセスを獲得することで、サイトの権威を向上させることも期待できます。
コンテンツマーケティングにおけるSEOの役割
コンテンツマーケティングにおけるSEOの役割は、持続的な集客です。SEO対策によって、コンテンツマーケティングの一環としてのWebコンテンツが多くの人に閲覧されるようになることで、集客からブランド認知度の向上など多岐にわたる成果につながります。
具体的には、ユーザーの検索意図を考慮した高品質な記事コンテンツを作成し、検索エンジンから評価されることで検索流入を増やすことが可能です。さらに、高品質な記事コンテンツを増やすことでサイト全体の品質も向上し、安定的な検索流入に寄与します。
これにより、継続的な集客が見込まれ、増加した潜在顧客を顕在化させることでコンバージョンが促進され、売り上げ向上が期待できます。
また、コンテンツマーケティングで作成した高品質なコンテンツは、SEOにも良い影響を与えます。コンテンツマーケティングとSEOは相互作用があるため、Webコンテンツを活用したコンテンツマーケティングを実施する際には、SEOが欠かせない施策の一つとなります。
コンテンツマーケティングとSEOを混同するデメリット
コンテンツマーケティングとSEOは異なるものですが、関係性の高い項目でもあるため、両者が混同されてしまうケースもあります。
ここでは、コンテンツマーケティングとSEOを混同するデメリットを3つご紹介します。
- コンテンツの内容が「集客志向」になってしまう
- 検索エンジン以外の集客が難しくなる
- PV数だけが増えてコンバージョンにつながらない
コンテンツの内容が「集客志向」になってしまう
コンテンツマーケティングと、Webコンテンツを上位表示させるためのSEOを混同することで、「集客」にのみに注力してしまうというデメリットがあります。
コンテンツマーケティングでは、集客だけでなくユーザーとの信頼関係を構築し、リードナーチャリング(購買意欲の醸成)やクロージング(購入を促す施策)など、広範な施策を展開する必要があります。集客を目指すコンテンツは出発点と考え、コンバージョンへの導線を設計し、コンテンツ制作を行うことが理想といえるでしょう。
集客を目的としたコンテンツが増えてしまうと、ユーザーが過剰なPRに反応して離脱するリスクが高まります。このような事態を防ぐためには、コンテンツマーケティングの目標に合わせてコンテンツの質を向上させることが重要です。
検索エンジン以外の集客が難しくなる
コンテンツマーケティングとSEOが同じものと考え、施策としてSEOのみを行ってしまうと、検索エンジンからの自然流入のユーザーしか獲得できず、他の流入元のユーザーにリーチできなくなる恐れがあります。
潜在的な顧客層の中には、情報収集が得意でないユーザーや、スマートフォンやパソコンの使い方が不慣れなユーザー層が含まれることも想定されます。また、現時点では検索行動に至っていない潜在層のユーザーも存在するでしょう。
これらのユーザーにリーチするためには、コンテンツマーケティングでは検索エンジンだけでなく、その他の流入元も対策する必要があります。
PV数だけが増えてコンバージョンにつながらない
コンテンツマーケティングとSEOを混同し、SEOでの検索ボリュームのみに焦点をあててしまうと、「PV数は少ないが、効果的なコンテンツ」を見逃す恐れがあります。
SEOは成果が比較的わかりやすい指標であるため、目に見える結果だけを追求しがちです。しかし、アクセス数が何十万と伸びても、結果的にコンバージョンが得られない場合は、コンテンツマーケティングとしての成果にはつながりません。
このような場合、重要なのは検索エンジンでの露出だけでなく、コンテンツがユーザーにどれだけ価値を提供できるかです。コンテンツマーケティングでは、ターゲットユーザーのニーズや課題を理解し、それに応える形で質の高い情報を発信することを意識すると良いでしょう。
コンテンツマーケティングとSEOの両方を成功させるためのポイント
マーケティングの成果を高めるためには、コンテンツマーケティングとSEOを組み合わせた総合的なアプローチが効果的です。
ここでは、両者を成功に導くためのポイントとして、次の4点を解説します。
- 質の高いコンテンツを提供する
- カスタマージャーニーにおける顧客心理や行動の変化を理解する
- SEOをタッチポイントとして、顧客コミュニケーションを強化する
- 戦略設計と高品質なコンテンツ制作は、プロへ依頼することも検討する
質の高いコンテンツを提供する
質の高いコンテンツを提供することは、コンテンツマーケティングとSEOのどちらにも良い影響があります。
コンテンツマーケティングにおいて、質の高いコンテンツが求められることはもちろんですが、検索エンジンの評価基準としても、コンテンツ品質を重視する傾向が高まっています。
コンテンツ品質の向上のためには、ユーザーの検索意図を理解し、的確な情報を提供することが不可欠です。
そのためには、キーワードの適切な選定に加え、以下のような手法で魅力的で読みやすいコンテンツを作成すると良いでしょう。
- 情報の正確性と信頼性
- テキスト以外の画像・動画なども活用し、情報を多角的に伝える
- 定期的な更新と最適化
これらの要素を組み合わせ、顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)を向上させつつ、SEOに有利な状態を維持することが大切です。
カスタマージャーニーにおける顧客心理や行動の変化を理解する
コンテンツマーケティングとSEOは、どちらも顧客の心理や行動の変化を理解し、それに合わせた戦略を展開することが求められます。
顧客の心理や行動の変化を理解する際には、カスタマージャーニーが役立ちます。カスタマージャーニーとは、マーケティングの概念の一つです。
販売促進において、購入または利用する対象となるユーザー像を定義し、商品やサービスの認知・検討・購入に至るまでの「行動・思考・感情」の経過を、時系列で体系的に把握する考え方です。
具体的な手法として、データ分析ツールの活用や、ユーザー調査の実施などがあります。これにより、検索キーワードの傾向やユーザーがより関心を寄せるトピックを把握しやすくなります。
カスタマージャーニーの活用によって得た情報をもとに、コンテンツ戦略やSEO対策を調整し、ユーザーが求める情報を迅速かつ適切に提供することが重要です。
SEOをタッチポイントとして、顧客コミュニケーションを強化する
マーケティング領域における「タッチポイント」とは、企業やブランドが顧客に接触するあらゆる情報の接点を指します。この接点には企業から発信される広告や宣伝のほか、口コミやSNSの投稿など、顧客が発信する情報も含まれます。
SEOをタッチポイントとし、コミュニケーション施策を展開・強化することで、良好な顧客関係を構築できます。
検索結果からウェブサイトに訪れたユーザーにとって、わかりやすく価値ある情報を提供することで、企業やブランドとの関係性を深めることにつながるでしょう。
戦略設計と高品質なコンテンツ制作は、プロへ依頼することも検討する
コンテンツマーケティングとSEOの成功には、戦略的な設計と高品質なコンテンツ制作が不可欠です。
品質を問わないコンテンツ制作であれば誰にでもできるかもしれませんが、対象ユーザーの特定や予測されるニーズ、どの接点からアプローチし、どのように態度変容を促すかを検討するには、経験やノウハウが求められます。
社内のリソースや独学だけでは難しいことも多いため、成果につなげるためには、経験豊富なプロへ相談することも検討すると良いでしょう。これにより、戦略的なアプローチの提案や高品質なコンテンツ制作が期待できます。
さらに、競争激化するオンライン環境で成功を納めるためには、マーケットや競合状況を的確に把握し、継続的なモニタリングや調整が必要です。そのため、最終的な目標や収益向上に向け、コンテンツマーケティングとSEOのトータルサポートを行っているような外注先へ依頼することをおすすめします。
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まとめ
コンテンツマーケティングは、価値ある情報提供を通じてユーザーの意識や行動を変え、売上に結びつける戦略です。対して、SEOは検索エンジン向けの最適化であり、評価されるサイトの構築と価値あるコンテンツ提供が焦点となります。
両者を混同すると目標や行動設計が難しくなり、成功につながりにくいため、違いや成功のポイントを理解した上で施策を行うことが重要です。
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