インターネットの普及によって近年注目を集める「コンテンツマーケティング」の手法は、アパレル業界でも多くの企業が導入しています。
一方で、効果的な運用ができていない企業や、そもそもコンテンツマーケティングを認知していない企業も少なくありません。そこで今回は、アパレル業界で実施すべきコンテンツマーケティングの概要や運用のポイント・注意点について詳しく解説します。
アパレル企業のマーケティングを担当している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそもコンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、作成したコンテンツを利用して集客やブランディングにつなげるマーケティング手法です。
従来型の広告では高額な出稿費用が必要でしたが、コンテンツマーケティングはインターネットの検索エンジンを通じて顧客の興味を引き付けるため、コストを低く抑えて効果的な集客効果が見込めます。
近年多くの企業がコンテンツマーケティングを導入しており、アパレル業界においても例外ではありません。インターネットが普及した現代において、コンテンツマーケティングの効果的な活用は企業間の集客競争に勝ち残るための重要な要素といえるでしょう。
アパレル業界がコンテンツマーケティングを導入すべき理由
アパレル業界がコンテンツマーケティングを導入すべき理由は、主に以下の3点です。
- アパレル業界とコンテンツマーケティングは相性がよいから
- コンテンツマーケティングは潜在顧客にアプローチできるから
- ブランディングに繋げられるから
それぞれ詳しく解説します。
アパレル業界とコンテンツマーケティングは相性がよいから
コンテンツマーケティングは、アパレル業界と相性がよい手法です。
アパレル業界で取り扱うファッションアイテムには、シーズンごとに「トレンド」が存在します。各シーズンのトレンドを自社商品と組み合わせて発信するだけでも、コンテンツのネタは尽きません。コンテンツマーケティングでは継続的な発信が重要であるため、アパレル業界の持つトレンドの特性と相性が抜群です。
また、アパレル企業が作成するコンテンツは写真や画像を取り扱う割合が大きくなるため、サイト自体の見栄えがよくなるメリットがあります。情報の発信だけではユーザーが飽きてしまう可能性もあるため、視覚的に楽しめるメディアが作りやすい点は、アパレル業界ならではの特徴といえるでしょう。
コンテンツマーケティングは潜在顧客にアプローチできるから
顧客には大きく分けて、顕在顧客と潜在顧客の2種類が存在します。アパレル業界で考えると、たとえば購入を目的として自社サイトを訪れる顧客は「顕在顧客」に、今すぐの購入は検討していないが、どのようなアイテムが流行しているのか知りたいと考える顧客は「潜在顧客」に該当します。
顕在顧客と潜在顧客を比較した場合、圧倒的に数が多いのは潜在顧客です。そのため効果的な集客を目指すのであれば、潜在顧客の興味をどのように引き付けるかが重要なポイントとなります。
コンテンツマーケティングは、検索エンジンを通じて自然な形で潜在顧客にアプローチできます。潜在顧客の抱える悩みや疑問に対して的確な回答が用意できれば、購入決定につなげられる可能性も高まるでしょう。
ブランディングに繋げられるから
企業の集客において、ブランディングは非常に重要な要素です。とくに競合の多いアパレル業界では、差別化を図るためのブランディング戦略の成否が売上に直結します。
コンテンツマーケティングは、コンテンツを通じて顧客のニーズに応えることでロイヤリティ(企業への愛着)を効果的に高められます。ファッションアイテムはブランド基準で選ぶ方も数多く存在するため、一度ファンを獲得できれば長期的に売上に貢献してくれるでしょう。
アパレル業界で活用できるコンテンツマーケティングの種類
アパレル業界で考えた場合、活用できるコンテンツマーケティングは主に以下の6種類です。
- オウンドメディア・ブログ記事
- SNS
- アプリ
- 動画
- メールマガジン
- ショッパブル広告
それぞれの種類の詳細について、以下で詳しく解説します。
オウンドメディア・ブログ記事
オウンドメディアやブログ記事などの記事コンテンツは、最も一般的なコンテンツマーケティングの手法です。自社のコーディネート事例を紹介したり、トレンドアイテムを紹介するのに適した手法であるため、アパレル業界でも多くの企業が導入しています。
オウンドメディアとは、企業が自社で運営するメディアです。記事コンテンツを掲載しインターネット上で発信することで、コンテンツ内容に興味を持つユーザーを検索エンジンから誘導できます。
ブログも同様に記事コンテンツを発信する媒体ですが、オウンドメディアとの大きな違いは、主に自社が主体となる情報を発信する点にあります。自社商品の購入やサービスの利用につながる可能性が高い反面、一方的なPRと判断されやすい点には注意が必要です。
SNS
当初は若者を中心に流行したSNSですが、今では幅広い年齢層の方が利用しており、マーケティングにおいても非常に重要視される市場に成長しました。
アパレル業界は特に、SNSから情報を取得する顧客の割合が多いといわれています。SNSをコンテンツマーケティングにうまく活用できれば、短期間で多くの顧客から認知されることが可能です。インフルエンサーとのコラボレーションで爆発的に売上を高めた事例も存在し、非常に大きな可能性を秘めた分野といえるでしょう。
SNSには、X(旧Twitter)・Instagram・Facebook・LINEなど、さまざまな種類が存在します。コンテンツマーケティングに活用する際は、自社に合った種類を選択することが重要です。
アプリ
アパレル業界には、アプリを活用したコンテンツマーケティングの成功事例がいくつも存在します。たとえば株式会社ZOZOが運営する「WEAR」では、アプリ内で幅広いショップスタッフのコーディネートが閲覧できるほか、SNSのように自身のコーディネートを投稿できる「参加型」の仕組みを採用しています。
これにより、ユーザーにより「楽しい」と感じさせながら、アプリ内のコンテンツを利用して効果的に購入決定へとつなげることが可能です。コンテンツマーケティングにさまざまな付加価値を付けやすい点は、アプリを活用する大きなメリットといえるでしょう。
動画
洋服や靴・小物類・アクセサリーなどのファッションアイテムをメインに取り扱うアパレル業界にとって、自社商品の魅力を視覚的にわかりやすく伝えることは非常に重要です。
動画を活用したコンテンツマーケティングには、より詳細な視覚情報を顧客に伝えられるメリットがあります。ファッションアイテムの購入を検討する際、YouTubeやTikTokなどの動画コンテンツから情報を取得する顧客は増えてきており、これらの市場でマーケティング活動を実施することは効果的です。
アパレル業界のコンテンツマーケティングには「オウンドメディア型ECサイト」がおすすめ
コンテンツマーケティングにはさまざまな種類が存在しますが、アパレル業界の企業に最もおすすめしたいのが「オウンドメディア型ECサイト」です。
オウンドメディア型ECサイトとはその名の通り、オウンドメディアとECサイトを組み合わせた媒体を指します。コンテンツを通じた顧客の誘導から自社商品の紹介・販売までをサイト内で完結できるため、購入決定につながりやすい点が最大のメリットです。
また、通常のECサイトで集客が狙えるのは顕在顧客であり、潜在顧客へのアプローチはあまり得意ではありません。一方、コンテンツマーケティングを組み合わせることでECサイトでも潜在顧客の集客が実現でき、マーケティングにおける弱点を克服できます。
弊社クロスバズでは、オウンドメディア型ECサイトに最適な記事コンテンツの作成業務を包括して代行しています。市場分析やキーワードの選定からコンテンツ作成・入稿作業に至るまで、一連のプロセスがまるっと依頼できるため、外注を検討する場合はぜひご相談ください。
アパレル業界でオウンドメディアを運用する際のポイント
アパレル業界でオウンドメディアを運用する際のポイントは、主に以下の4点です。
- 初期段階でペルソナを明確に設定する
- とにかくビジュアルにこだわる
- 自社の強みを活かしたコンセプトを確立する
- 購買につながりやすい導線を考える
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
初期段階でペルソナを明確に設定する
ターゲットとなる顧客像を鮮明にイメージするプロセスを「ペルソナ設定」と呼びます。ペルソナ設定が不十分であったり、実際の顧客像とずれている場合は、コンテンツマーケティングの効果を最大化できません。
そのため、ペルソナは初期段階で明確に設定する必要があります。まずはユーザーへのアンケートや自社サイトのアクセス解析・カスタマーサポートへのヒアリングなどを通じて、ペルソナ設定に必要な情報を徹底的に集めましょう。
十分なデータが集まったら、それを基にペルソナを設定します。たとえばアパレル企業の場合であれば、年齢層や性別・職業・年収などの基本的なプロフィールに留まらず、好みのファッションの系統やスタイル・トレンドへの関心度・洋服の購買頻度などの細かい項目までイメージし徹底的に深堀りすることが、明確なペルソナ設定を実現するためのポイントです。
とにかくビジュアルにこだわる
アパレル業界の顧客は、ほかの業界よりも「見た目のよさ」を重視する傾向があります。この点は商品に限らず、サイトのビジュアルにおいても同様です。サイト設計にセンスを感じなければ、その会社が販売しているファッションアイテムにも魅力を感じられなくなってしまうでしょう。
そのため、アパレル業界の企業がオウンドメディアを運営する場合は、とにかくビジュアルにこだわる必要があります。自社商品の写真はもちろん、コンテンツ内に挿入する画像やアイキャッチ画像・ヘッダーやフッターなどの見栄えを意識することで、訪れたユーザーの離脱を防ぐことが重要です。
自社の強みを活かしたコンセプトを確立する
アパレル業界で、オウンドメディアを活用しコンテンツマーケティングを実施する企業は増えてきています。ほかの企業のコンテンツに埋もれないためには、独自性の高いコンテンツを発信することが重要です。
コンセプトに沿ったコンテンツの発信は、マーケティングにおける競合他社との差別化ポイントとなります。たとえばシニア女性に向けた洋服を販売するブランドであれば、シニア女性に合ったコーディネートの事例や着脱しやすい洋服の特徴などを発信することで、自社のメインターゲットを効果的に集客できます。
購買につながりやすい導線を考える
自社のコンテンツに顧客を誘導できても、そのまま売上に反映される訳ではありません。購入という具体的なアクションへつなげるためには、導線設計を意識する必要があります。
コンテンツマーケティングにおける「導線」とは、コンテンツに訪れたユーザーの行動を戦略的に誘導する経路を指します。記事コンテンツの場合であれば、ユーザーの悩みや疑問が解決できる記事末尾に自社商品へのリンクを設置することで、自然な流れで購入プロセスまでユーザーを誘導できるでしょう。
また、商品の購入だけがコンテンツマーケティングのゴールではありません。SNSに力を入れているアパレルブランドであれば、コンテンツ内の適切な位置にSNSへのリンクを挿入することでフォローにつながり、ブランディング効果も期待できます。
コンテンツマーケティングのあらゆる目的を達成するために、オウンドメディア内の導線設計は不可欠な考え方です。
アパレル業界で参考にするべきオウンドメディアの事例4選
ここでは、アパレル業界の企業が参考にするべきオウンドメディアの事例を紹介します。
サイトのビジュアルや導線設計など、コンテンツマーケティングにおいて重要なポイントが凝縮されているため、ぜひ参考にしてください。
MinoriTY(マイノリティ)
「ちょうどいいけど、ちょっと違う服」をコンセプトにしたアパレルブランド「MinoriTY」では、オウンドメディアにブログ記事を投稿する形でコンテンツマーケティングを実施しています。
発信する内容は、主にコーディネート事例や服選びに関するお役立ち情報です。たとえば高身長男子向けに服の選び方のポイントを解説するコンテンツでは、ユーザーの疑問を解決したあとに自社アイテムの紹介やおすすめのコーディネートを効果的に紹介しています。
高い確率で自社商品やサービスへのアクションにつなげられるため、ブログを活用したコンテンツマーケティングはおすすめの選択肢です。売上に直結するコンテンツマーケティングを実施したい方は、ぜひMinoriTYの事例を参考にしてみてください。
参考:MinoriTY公式 MinoriTY CONTENT
AOKI
衣料品および服飾品の企画販売を手がける「AOKI」のコンテンツマーケティングは、オウンドメディア型ECサイトの模範的な事例です。
掲載するコラム記事では、スーツやオフィスカジュアルに関するお役立ち情報を発信しています。自社の得意分野の知識やノウハウを活かし、ターゲット顧客に対して価値の高い情報をピンポイントで提供している点が特徴です。
AOKIは実店舗のイメージがありますが、ECサイトでの購入にも対応しています。コンテンツ内で紹介したアイテムやコーディネートの内部リンクを効果的に設置し、ECサイトからの購入アクションにつなげる導線設計は、ほかのアパレルブランドも参考にすべきポイントといえるでしょう。
参考:AOKI公式 コラム
PLST(プラステ)
シンプルでありながらも洗練されたデザインを誇る衣類の提供により、性別を問わず幅広い年齢層のユーザーから支持されるアパレルブランド「PLST」は、オウンドメディア「PLST MAGAZINE」を運営しています。
男女別にニーズの高い情報を発信しており、結婚式の二次会や七五三・入学式など、おすすめのコーディネートをシーン別に細かく紹介している点が特徴です。コンセプトに沿ったコンテンツ内容を発信しており、自社の強みやこだわりがコンテンツにも色濃く反映されています。
YOUKA(ヨウカ)
60代・70代のシニア世代をターゲットに、おしゃれで快適な服装を提供するアパレルブランド「YOUKA(ヨウカ)」は、オウンドメディア型ECサイトでブログ記事を発信しています。
人気のインスタグラマーをモデルとして自社のアイテムを活用したコーディネートを紹介しており、インフルエンサーとのコラボレーションでブランド認知を高める好事例です。一部のコンテンツ記事では執筆までインフルエンサーが担当しており、ファン層に対しても効果的なアプローチを実現しています。
参考:OUKA(ヨウカ)公式 60代ファッションワンピースのコーディネート – ブログ
アパレル業界でコンテンツマーケティングを実施する際の注意点
アパレル業界でコンテンツマーケティングを実施する際には、以下の3つの注意点が存在します。
- ブランドのイメージを壊さないよう注意する
- 短期間では成果は見込めない
- 十分な社内リソースが必要
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ブランドのイメージを壊さないよう注意する
コンセプトや世界観が強いアパレルブランドの場合、検索エンジンへの最適化を意識し過ぎることで、ブランドのイメージが壊れてしまう可能性があります。ファンが離れてしまう要因にもつながるため、コンテンツ作成の際には注意しましょう。
特に外部の専門業者に委託する場合は、自社のコンセプトをしっかり認識してもらうことが重要です。専門業者が作成したコンテンツは、自社のコンセプトに沿ったものであるかを必ず社内の人間が確認しましょう。
短期間では成果は見込めない
コンテンツマーケティングはコンテンツを通じて顧客に情報を提供し続けることで、間接的に集客へとつなげるマーケティング手法です。発信したコンテンツが検索エンジンに評価されるためにはある程度の時間が必要であり、短期間で成果を出したい場合にはおすすめできません。
投稿頻度や質にもよりますが、オウンドメディアの立ち上げから成果が実感できるまでには、一般的に3か月~半年程度、長ければ1年程度の期間が必要だといわれています。
もちろん、効果的に運用できれば比較的早い段階で効果が実感できるでしょう。しかし、コンテンツマーケティングの継続には企業体力が必要となるため、導入前に覚悟しておく必要があります。
十分な社内リソースが必要
コンテンツマーケティングを成功させるためには、良質なコンテンツの継続的な作成が求められます。
そのためには適切な人員体制と予算・およびSEO(検索エンジン最適化)に関する専門知識が必要です。社内に十分なリソースの蓄積がなければ、中途半端な取り組みとなりコンテンツマーケティングは失敗に終わってしまうでしょう。
コンテンツマーケティングを自社で内製化させる場合は、社内のリソースを見極め慎重に検討する必要があります。知識やノウハウなしで誰にでも運用できる手法ではないため、これから導入する企業の担当者は注意してください。
アパレル業界のコンテンツマーケティングは専門業者への外注もおすすめ
アパレル業界でコンテンツマーケティングを実施するにあたり、社内のリソースが不足する場合や、より高い効果を求める場合には、専門業者への外注もおすすめの選択肢です。コンテンツの作成に必要な負担を軽減できるほか、場合によっては自社でおこなうよりもランニングコストを低く抑えられる可能性があります。
弊社クロスバズでは、分析からコンテンツの作成・入稿作業に至るまでの一連のプロセスを包括的に対応しております。SEOのプロ集団が高品質な記事コンテンツを作成いたしますので、外注を検討する場合はぜひ一度ご相談ください。
まとめ
今回は、アパレル業界で実施すべきコンテンツマーケティングの概要や運用のポイント・注意点などを中心に解説しました。
コンテンツマーケティングはアパレル業界と非常に相性がよい手法であり、実際に多くの企業がコンテンツマーケティングを利用して効果的な集客やブランディングを実現しています。
まだ導入していない企業の担当者も、ぜひ本記事を参考にコンテンツマーケティングに取り組んでみてください。
また、弊社クロスバズでは記事コンテンツの制作におけるすべてのプロセスを一気通貫で代行しています。自社のみでの実施が難しいと感じた場合は、ぜひ一度クロスバズまでご相談ください。