
広告運用の際にA/Bテストを実施することで、感覚や思い付きに頼った改善ではなく、データに基づいた精度の高い改善が可能です。
ただし、広告のA/Bテストで成果を上げるためには、適切な手順でポイントを押さえて取り組む必要があります。
この記事では、広告運用におけるA/Bテストの概要や種類、実施するメリット、具体的な手順、広告媒体ごとの設定方法とポイントについて解説します。
目次
広告のA/Bテスト(ABテスト)とは
広告運用で効果的な改善を行うためには効果測定が不可欠であり、A/Bテスト(ABテスト)は効果測定方法の一つです。
定量的なデータをもとに改善を行うことで、広告をはじめとするWebマーケティングのパフォーマンスを最適化し、投資対効果(ROI)を向上させることができます。
そもそも、A/Bテストとは?
A/Bテストとは、バナーや広告文などの要素を、二つの異なるバージョン(AとB)で比較し、どちらがより効果的であるかをデータに基づいて検証する試験方法です。一般的に、Webマーケティングの施策の効果測定に用いられます。
A/Bテストを行うことで、どの要素がターゲットユーザーにとってより魅力的であるか、または効果的に機能するかを明確にすることが可能です。
テストの結果をもとに効果的なバージョンを選定し、これを繰り返し行うことで、施策のパフォーマンスの向上につながります。
A/Bテストの主な対象
A/Bテストは、主に次のようなマーケティング施策の効果測定に用いられます。
【Web広告】
広告文やビジュアル、ターゲティング設定などをテストし、どのバージョンがもっともクリックされやすいかを比較します。
【LP(ランディングページ)】
ユーザーが最初に訪れるページで、コンバージョン率を高めるために、レイアウトやコンテンツ、CTAボタンの位置などをテストします。
【購入フォーム】
フォームの項目数やデザイン、入力方式をテストし、ユーザーの入力完了率を向上させるための最適化を行う際に用いられます。
【メールマガジン】
件名や本文の内容、配信時間をテストし、開封率やクリック率を向上させるための改善に役立てられます。
このような施策にA/Bテストを取り入れることで、データに基づいた効果的なマーケティング活動を実現できます。
LPのA/Bテストの実施方法については、こちらもあわせてご覧ください。
関連記事:LPのABテストはなぜ重要?具体的なやり方や注意点とおすすめツール3選を紹介
広告の効果検証にA/Bテストを用いるメリット
広告運用において、効果測定をもとに改善することは欠かせないプロセスです。ここでは、広告の効果検証にA/Bテストを活用することのメリットについて、次の3つの視点から解説します。
- 少ない労力・コストで広告のパフォーマンスを改善できる
- データに基づき仮説の検証を行える
- 効果的な広告パターンを把握できる
少ない労力・コストで広告のパフォーマンスを改善できる
A/Bテストを活用するメリットの一つは、少ない労力とコストで広告パフォーマンスを大幅に改善できる点です。
従来の改善方法では、個人の感覚や経験に頼ることが多かったのに対し、A/Bテストでは実際のデータをもとに検証を行い、無駄なコストを削減しながら最適な広告パターンを見つけることが可能です。
また、一度に複数のバージョンを比較できるため、短期間で広告効果を改善できます。リソースを抑えて効率よく運用を最適化でき、戦略的に次のステップへ進むことができます。
データに基づき仮説の検証を行える
A/Bテストのメリットとして、広告運用における仮説について、データに基づき検証できる点が挙げられます。
例えば、「キャッチコピーを変更すれば反応が向上する」「特定ターゲット層への最適化でコンバージョン率が上がる」といった仮説を、実際のデータで検証できます。
A/Bテストを用いることで、感覚的な判断に頼ることなく定量的な根拠をもって次の施策を決定できるため、結果として広告運用の精度が向上し、より効果的な戦略立案が可能になります。
効果的な広告パターンを把握できる
広告の要素は多岐にわたり、例えば画像・キャッチコピー・ターゲティング・CTAボタンの色や位置など、無数の組み合わせが存在しますが、A/Bテストを活用することで、もっとも効果的な広告パターンを特定することが可能です。
さらに、テストを繰り返し行うことで広告の最適化が進み、時間とともに高い成果を上げる広告パターンを確立できます。
また、発見した効果的なパターンを他の広告キャンペーンに応用することで、将来的な広告運用でも優れた結果を得ることができます。A/Bテストは短期的な改善だけでなく、長期的な広告戦略の構築にも役立ちます。
広告運用におけるA/Bテストの種類
A/Bテストの実施方法には、大きく分けて「逐次テスト」と「並行テスト」の2種類あります。ここでは、それぞれのテストの特徴と実施する際の注意点について詳しく説明します。
逐次テスト
逐次テストは、AパターンとBパターンを別々の期間に実施する方法です。Aパターンを一定期間流してから、その後にBパターンを流すという形で、1つずつのパターンの効果を検証します。
逐次テストは、システムを導入せずに手軽に行えるため、特に予算が限られている場合に有用です。
ただし、時期に影響されやすいというデメリットがあります。季節的な要因や曜日によるユーザーの行動パターンの違い、外部要因などが結果に影響を及ぼしやすいため、常に一貫した結果を得ることが難しい場合がある点には注意が必要です。
並行テスト
並行テストは、AパターンとBパターンを同時期にテストする方法です。このテスト方法では、ユーザーごとにランダムにページが振り分けられ、異なるバージョンが同時に表示されます。
同じ条件下で実施することで、他の要因に影響されることなく、データを公平に比較することが可能です。また、短期間で大量のデータを収集できるため、効果が早く現れる施策や、大規模なユーザーを対象としたキャンペーンにも適しています。
一方で、並行テストの実施には、LPO(ランディングページ最適化)ツールや対応可能なシステムの導入が必要です。そのため、目的や予算に応じて適切に活用することが重要です。
広告運用でA/Bテストを実施すべき項目
広告運用の際にA/Bテストを実施することで、広告のパフォーマンスを最大化することが可能です。ここでは、広告運用でA/Bテストを実施すべき次の3つの項目について解説します。
- 広告文
- キービジュアル
- ターゲティング
広告文
Web広告における広告文は、ユーザーの興味を引き、クリックを促すための重要な要素です。広告文のA/Bテストを行うことで、タイトル、説明文、CTA(コール・トゥ・アクション)のコピーなど、さまざまな要素を検証できます。
例えば、「今すぐ購入」のような直接的なタイトルと、「特別割引中」といった魅力的なオファーを比較することや、CTAでは「詳細を見る」と「今すぐ試す」といった表現の効果を測定することが可能です。
また、ターゲット層や広告目的に応じて、コピーのトーンやスタイル(例えば、堅め or カジュアル)をテストすることも効果的です。これにより、効果的な表現を最適化し、コンバージョン率の向上を図れます。
キービジュアル
キービジュアルとは、コンテンツや商品、企業、ブランドなどのイメージを直感的に伝える役割を担う、メインのイメージ画像やデザイン要素を指します。
広告では視覚的なインパクトを与えるキービジュアルが重要であり、効果的なキービジュアルを設定できていないと、ユーザーにスルーされてしまう可能性があります。
A/Bテストを活用することで、どの画像やデザインがユーザーの興味を引き、クリック率の向上につながるかを比較できます。例えば、製品写真を使用した広告と抽象的なイラストを使った広告を比較することや、カラーやレイアウトの変更によって視覚的な印象を検証することが可能です。
ターゲティング
広告運用におけるターゲティングとは、自社製品やサービスの理想的なユーザーに広告を届けるために、特定の条件に基づいて広告の配信対象や表示場所を絞り込むことです。
ターゲティングのA/Bテストを実施することで、異なるターゲティング条件を比較し、もっとも効果的なグループを見つけられます。例えば、年齢・性別・地域などの基本的な要素のほか、興味や行動履歴に基づいたターゲティングのテスト方法があります。
広告のA/Bテストの実施方法・手順
広告のA/Bテストで成果につなげるためには、適切な手順で進めることが求められます。ここでは、A/Bテストを実施する際の具体的な手順と方法について、次の7ステップで解説します。
- 目的を明確にする
- 予算・実施期間を決める
- 仮説を立てる
- 影響範囲を予測する
- 評価基準(KPI)を設定する
- A/Bテストを実行する
- 結果を分析し改善を繰り返す
1. 目的を明確にする
A/Bテストを始める前に目的を明確にすることで、テスト結果を正しく評価し、広告の改善につなげやすくなります。
広告の目的は、「ブランド認知度の向上」「リード獲得」「商品の購入促進」など多岐にわたり、それぞれの目的に応じて、テストすべき項目や指標が異なります。
例えば、購入促進を目的とする場合はコンバージョン率が重要なKPIとなり、ブランド認知度向上を目的とする場合はインプレッション数やクリック率が重要になるでしょう。
2. 予算・実施期間を決める
次に、A/Bテストのための「予算」と「実施期間」を決定します。十分な予算と期間を確保することで、より精度の高いデータを収集し、テスト結果の信頼性を高められます。
予算については、広告費だけでなく、ツールやシステムの導入費、テスト後のデータ分析や改善にかかるコストも含めて考慮すると良いでしょう。また、実施期間は、曜日や時間帯によるユーザーの行動の違いも影響するため、最低でも1週間、理想的には2~3週間程度のテスト期間を設けることがおすすめです。
3. 仮説を立てる
A/Bテストの前には「仮説」を立てることが重要です。どの要素が広告の効果に影響を与えているのかを予測し、仮説をもとにテストを実施します。
例えば、広告文の変更に関する仮説を立てる場合、「CTAの言葉を変えるとクリック率が向上するかもしれない」といった予測ができます。
仮説を立てることで、どの要素がパフォーマンスに影響を与えているのかをテストで検証でき、改善策を導き出すための指針とすることが可能です。
4. 影響範囲を予測する
A/Bテストを実施する際は、テストがどの程度の影響範囲を持つのかを予測することも大切です。広告運用にはさまざまな要素が絡み合っており、一つの要素を変更することで予期しない結果が出ることもあります。影響範囲を予測しておくことで、テスト後の結果分析や改善に役立ちます。
影響範囲を予測し、テストの規模を決めることで、テストがスムーズに進行し、結果に対する理解を深められます。
5. 重要評価基準(KPI)を設定する
広告のA/Bテストの目的を達成するためには、適切な「重要評価基準(KPI)」を設定することが不可欠です。KPIは、広告のパフォーマンスを数値的に示す指標であり、テスト後に得られたデータを比較するための基準となります。
具体的には、広告文の変更をテストする場合は、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)が主な評価基準になります。また、キービジュアルの変更をテストする場合は、インプレッション数やエンゲージメント率(いいねやシェア)などがKPIとして考えられます。
6. A/Bテストを実行する
A/Bテストを実行する際には、対象となるユーザーを無作為にAパターンとBパターンに分け、同条件で広告を配信します。
A/Bテストのツールやシステムを活用することで、テストを効率的に実行できます。広告配信プラットフォームには、A/Bテスト機能が搭載されているものも多いため、それらを利用することで手間を減らし、テスト結果の精度を高めることが可能です。
7. 結果を分析し改善を繰り返す
次に、テストの結果をもとに、どのパターンがもっとも効果的であったのかを見極め、改善すべき要素を分析します。
結果分析では、KPIに基づき各パターンのパフォーマンスを比較し、予測通りの結果が出ているかを確認します。また、結果が期待通りでない場合は、その理由を特定し、次回のテストに活かすための改善案を検討することが大切です。
A/Bテストは一度で終わるわけではなく、改善と繰り返しが重要です。テスト結果を通じて新たな仮説を立て、再度テストを実施することで、広告の効果の継続的な改善につながります。
主要な広告媒体別のA/Bテストの設定方法
A/Bテストの設定方法は使用する広告媒体によって異なるため、各広告媒体における最適な設定方法を理解しておくことが重要です。
ここでは、主要な8つの広告媒体におけるA/Bテストの設定方法と、それぞれのプラットフォームでの特徴や注意点について解説します。
- Google広告
- Yahoo!広告
- Instagram広告
- X広告(旧:Twitter広告)
- LINE広告
- Meta広告
- TikTok広告
- Amazon広告
Google広告

Google広告では、リスティング広告(検索連動型広告やディスプレイ広告)をはじめ、YouTube広告やショッピング広告など多岐にわたる広告フォーマットを提供しています。
まずは、検索エンジンからの流入を目指す広告運用者にとって必須のツールといえるGoogle広告でのA/Bテスト設定方法と、実施する際の注意点を詳しく解説します。
Google広告のA/Bテストの設定方法
Google広告でのA/Bテストは、主に広告文、キーワード、ターゲティング設定をテストするために使用されます。設定方法は以下の手順で進めます。
1. テストのセットアップ
- Google広告の管理画面で「キャンペーン」をクリック
- サイドメニューから「テスト」を選択し、「+」ボタンをクリック
- 「デマンドジェネレーションテスト」タブを選択して「続行」をクリック
- テストの名前と説明を入力し、他のテストと識別可能な名称にする
デフォルトではテスト群は2つですが、最大10個まで追加可能です。各テスト群にラベルを付けて整理します。
2. トラフィックの分割設定
- 「トラフィック分割」で、もとのキャンペーンとテストキャンペーンの比率を指定する(例:50%ずつがおすすめ)
- 各テストグループにキャンペーンを割り当てる(一つのキャンペーンが複数のテストグループに属することは不可)
3. 指標を設定
- 成功指標(クリック率、コンバージョン率、CPCなど)を選択する
- 「保存」をクリックして設定完了
4. テストの実施と評価
- テスト結果レポートにて、結果を表示する信頼度、テストの結果、レポート表を確認する
5. テストの終了
- 結果が得られたらテストを終了し、成果をもとのキャンペーンに反映させる
出典:デマンド ジェネレーション キャンペーンの A/B テストを作成する – Google 広告 ヘルプ
Google広告でA/Bテストを行う際の注意点
Google広告でA/Bテストを行う際には、次の3つのポイントに注意しましょう。
- テスト終了の管理:テストを手動で終了しない場合、停止されていないキャンペーンが制限されたトラフィックに配信され続ける可能性があるため、確実に終了すること
- コンバージョン数の確保:デマンドジェネレーションテストの結果を確認するには、各テストグループで50件以上のコンバージョンが必要
- 変数は一つに限定する:テストでは変数を一つだけ変更し、他の条件を統一することで結果の信頼性を向上させられる
これらのポイントを押さえることで、Google広告のA/Bテストをより効果的に運用し、信頼性の高い結果を得ることが可能です。
Yahoo!広告

Yahoo!広告は、日本国内で広く利用されている広告媒体で、「検索広告」と「ディスプレイ広告(運用型・予約型)」が提供されています。続いて、Yahoo!広告のA/Bテストの設定方法と、テストを実施する際の注意点を確認していきましょう。
Yahoo!広告のA/Bテストの設定方法
Yahoo!広告のディスプレイ広告(運用型)では、広告のパフォーマンスを比較するためのA/Bテストを簡単に設定できます。設定方法は、以下の通りです。
1. 事前準備
- テスト用に2つのキャンペーンを作成する(それぞれの広告グループや広告を含め、検証ポイント以外の条件(配信期間、予算など)を統一する)
2. A/Bテストの作成
- 広告管理ツール右上の「ツール」をクリックし、メニューから「A/Bテスト」を選択
- 「A/Bテストを作成」ボタンをクリックして、作成画面に移動する
3. 必要情報の入力
- A/Bテストを識別する名称を入力する
- 検証内容やメモを記載します(任意)
- 設定するキャンペーンAとBを選択し、「適用」をクリック
- テスト期間を設定する(最大90日間)
4. テストの作成と確認
- 入力が完了したら「作成」ボタンをクリックするとテストが作成され、「A/Bテスト一覧」に表示される
- テスト名をクリックすると詳細画面が開き、設定内容を確認できる
出典:A/Bテストについて – ヘルプ – Yahoo!広告
Yahoo!広告でA/Bテストを行う際の注意点
Yahoo!広告でA/Bテストを行う際は、一つのキャンペーンでは同時に一つのテストのみ設定でき、テスト作成後に対象キャンペーンの変更はできない点に注意しましょう。
変更が必要な場合は、テストを削除して再設定する必要があります。また、配信期間や予算などの設定次第では、テストの精度に影響が出る可能性があることも考慮しましょう。
Instagram広告

Instagramはビジュアル重視のプラットフォームであり、広告のA/Bテストを実施する場合は、特に画像や動画のクリエイティブの検証が効果的です。Instagram広告でのA/Bテストの設定方法と注意点を解説します。
Instagram広告のA/Bテストの設定方法
Instagram広告のA/Bテストは、広告マネージャのツールバーを使用して簡単に作成できます。設定手順は以下の通りです。
1. 広告マネージャを開き、広告キャンペーンのリストを表示する
2. テスト対象の選択
- 既存のキャンペーン、広告セット、広告から選択し、ツールバーの「A/Bテスト」をクリックする
- 「広告を複製」または「他の広告を選択」のいずれかを選択
2-1. 広告の複製を選択する場合
- 変更する変数を選択し、画面の指示に従って進める
- テスト名・結果判定方法を設定し、必要に応じて指標を追加する
- テスト期間を設定する(信頼性の高い結果を得られる長さに調整)
- すべての設定後に「広告セットを複製」をクリックし、名前を作成して「公開」をクリック
2-2. 他の広告を選択する場合
- 比較する広告やキャンペーンを選び、画面の指示に従って進める
- テスト名・判定方法・テスト期間を設定する
- 設定を確認・編集した後に「公開」をクリック
出典:広告マネージャでA/Bテストを作成する | Metaビジネスヘルプセンター
Instagram広告でA/Bテストを行う際の注意点
Instagram広告でA/Bテストを実施する際の注意点として、広告予算の設定方法が挙げられます。
広告予算は広告セットレベルで予算を変更できますが、テストの公平性を保つためには、両方の広告バージョンに同じ予算を割り当てることが重要です。これにより、結果が偏らず、より正確な比較が可能になります。
X広告(旧:Twitter広告)

X広告(旧Twitter広告)は、ソーシャルメディア広告の中でも、ユーザーの興味関心に基づいたターゲティングが可能な点が特徴です。特に、リアルタイムの反応を活かしたキャンペーンや、イベント、トレンドに関連した広告に強みを発揮します。X広告のA/Bテストの設定方法とテストを実施する際の注意点は、以下の通りです。
X広告のA/Bテストの設定方法
X広告では、2023年にA/Bテスト機能が実装され、広告作成時に簡単にテストを設定することができるようになりました。X広告でのA/Bテスト設定方法は、以下の手順で行います。
- X広告マネージャーでキャンペーンの設定画面を表示する
- 「A/Bテスト」の項目をオンにし、テストの開始日時と終了日時を設定する
- 広告グループ(定数)を設定する
- テストする一つ目と二つ目の広告クリエイティブを変数として設定する
- A/Bテストの設定内容を確認し、「キャンペーンを開始」を選択して完了
X広告でA/Bテストを行う際の注意点
X広告でA/Bテストを行う際には、既存のキャンペーンではA/Bテスト機能を利用できず、新たにキャンペーンを作成する必要がある点には気を付けましょう。
また、一部の設定や広告フォーマットはA/Bテストに対応していないため、使用前に確認が必要です。特に、広告キャンペーンの予算最適化機能はA/Bテストと併用できないため、広告グループ単位で日額予算を設定する必要があります。
X広告の一つであるテイクオーバー広告(*)や、ダイナミックプロダクト広告(**)では、クリエイティブA/Bテストを使用できません。
*テイクオーバー広告:ユーザーが最初に目にするタイムラインやトレンド画面など、X上で最も目立つ場所に表示される広告
**ダイナミックプロダクト広告:ユーザーの行動履歴や関心に基づいて関連商品を自動で表示する広告
LINE広告

コミュニケーションアプリ「LINE」で配信されるLINE広告は、ユーザーの属性に基づく精度の高いターゲティングが特徴の広告プラットフォームです。LINE広告のA/Bテストの設定方法と、実施時の注意点を確認していきましょう。
LINE広告のA/Bテストの設定方法
LINE広告のA/Bテスト機能では、広告の配信対象を分割し、「クリエイティブ」「ターゲティング」「最適化・入札」などを均等に比較できます。A/Bテストの設定方法は、以下の通りです。
- LINE広告管理画面でキャンペーンを作成し、「A/Bテスト」を「ON」にする
- テストの目的に合わせて広告グループ数を設定(最大5つ)し、それぞれに異なる要素を割り当てる
- 広告グループには日予算を設定し、テストの総予算を決定する
- テストの開始前に、A/Bテスト確認画面で「OK」を選択し、キャンペーンを「下書き」状態で作成する
- 設定後、「有効」に変更しテストを開始する
- テスト中、共通設定はすべての広告グループに適用され、個別設定でテストする要素(クリエイティブ、ターゲティングなど)を設定する
- 広告グループごとに広告を入稿し、テストを実施する
LINE広告でA/Bテストを行う際の注意点
LINE広告でA/Bテストを実施する際には、既存のキャンペーンでは利用不可となっており、テスト用のキャンペーンを新規作成する必要があります。
また、A/Bテスト機能内では上限予算を設定することはできません。さらに、バルクアップロードによる広告入稿はサポートされていないため、手動での設定が必要です。
テスト配信中、広告グループや広告のステータス変更にも注意が必要で、広告グループを停止・削除すると、他の広告グループにも影響が及ぶことがあります。広告グループ数が減少する可能性もあるため、テストの進行に支障が出ないよう管理しましょう。
Meta広告(Facebook、Instagram、Messenger、WhatsApp)

Meta広告(旧Facebook広告)は、精度の高いターゲティングと多彩な広告フォーマットを提供する広告プラットフォームです。Facebook、Instagram、Messenger、WhatsAppの4種類に配信できます。Meta広告のA/Bテストの設定方法と実施する際の注意点を解説します。
Meta広告のA/Bテストの設定方法
Meta広告でA/Bテストを作成する方法は、テストする変数や作成場所によって異なります。
一般的には、Meta広告マネージャのツールバーを使ってA/Bテストを作成する方法が推奨されており、この方法では、既存の広告キャンペーンや広告セットをテンプレートとして使用できます。設定するためには、次の手順で進めます。
- 広告マネージャのメイン画面で、作成した広告、キャンペーン、広告セットの一覧を確認する
- A/Bテストに使うキャンペーンまたは広告セットにチェックを入れる
- ツールバーの「A/Bテスト」をクリックする
- 比較する変数を選択し、画面の指示に従って設定を進める
- テスト完了後に「テスト」で結果を確認する
なお、3のステップで「カスタム」を選んだ場合、選択したキャンペーンや広告セットを複製し、テストキャンペーンで変数を編集できます。
出典:Metaのテクノロジーで利用できるA/Bテストのタイプ
Meta広告でA/Bテストを行う際の注意点
Meta広告でA/Bテストを実施する際は、オーディエンスサイズが十分に大きく、配信不足が起こらないように確認することが大切です。
テストの際にオーディエンスを分割するため、サイズが小さくなると配信不足が発生しやすくなります。A/Bテストを行う際には、通常よりも大きなオーディエンスサイズを設定し、配信不足を避けましょう。
また、予算が不足している場合にも配信不足が発生する可能性があるため、十分な予算を確保することが重要です。予算を増やすことで、より多くの利用者にリーチでき、テスト結果の精度が向上します。
TikTok広告

TikTok広告は、短尺動画を中心とした広告プラットフォームで、特に若年層に対する影響力があります。TikTok広告のA/Bテストの設定方法と注意点を確認していきましょう。
TikTok広告のA/Bテストの設定方法
TikTok広告でのA/Bテストは、「スプリットテスト」と呼ばれます。現在テストできる変数は、ターゲット設定、入札方法と最適化、クリエイティブの3つです。
TikTok広告でA/Bテスト(スプリットテスト)を設定する方法は、以下の通りです。
1. A/Bテスト(スプリットテスト)の作成
- TikTok広告マネージャーを開き、「キャンペーン」タブをクリックし、新しいキャンペーンを作成する
- 「作成」をクリックし、広告目的を選択する
- 「スプリットテストを作成」トグルをクリックしてテスト機能を有効にし、「続行」をクリックする
- 「広告セット」タブでターゲット設定や予算、配信方法などを設定する(テスト期間は最低7日間に設定することを推奨)
- 「広告」タブで広告クリエイティブの設定を行う
- 「スプリットテスト」タブでテストする変数(配信対象、クリエイティブ、入札方法など)を選択する
- 主要なデータ指標を選択し、システムが広告セットを比較できるように設定する
- テスト広告セットを設定し、「完了」をクリックしてテストを開始する
2. テスト結果の確認
- 「キャンペーン」タブから広告セットに移動し、「データを表示する」をクリックして、詳細なデータ指標を確認する
- 「スプリットテスト」をクリックし、テスト結果を確認する
- 結果として、効果的な広告セットが判明するか、効果的な広告セットがないかが表示される
出典:スプリットテストについて | TikTok広告マネージャー
TikTok広告でA/Bテストを行う際の注意点
TikTok広告でA/Bテストを行う際の注意点は、まずテストする2つのグループに明確な差異を設定することが重要です。テスト期間は最低でも7日間を確保することが推奨されています。
また、サンプル不足を防ぐためにはオーディエンスの規模を拡大し、十分な人数にリーチできるようにする必要があります。パワーバリューを高めるためには、テストの信頼性を確保できるよう80%以上を目指して予算設定を行うことが求められます。
テスト開始後に広告セットを変更すると、再審査が必要になる場合があるため、テスト設定後の変更は避けましょう。
出典:スプリットテストのベストプラクティス | TikTok広告マネージャー
Amazon広告

Amazon広告は、Amazonプラットフォーム内で商品やブランドの認知度向上と販売促進を目的とした広告サービスです。適切なターゲティングを行うことで、検索結果や商品ページ、Amazon外のウェブサイトやアプリにも広告を表示できます。Amazon広告のA/Bテストの設定方法と実施する際の注意点は、以下の通りです。
Amazon広告のA/Bテストの設定方法
Amazon広告のA/Bテストは「比較テスト」と呼ばれ、商品画像・商品名・商品仕様・商品説明・ブランドストーリーなど、複数の要素を同時にテストできます。
Amazon広告のA/Bテスト(比較テスト)の設定は、次の手順で進めます。
- セラーセントラルから「比較テスト」のページにアクセスする
- 「新規の比較テストを作成」をクリックする
- テストしたい項目を選択する
- 比較テストを行うための参照ASINを選ぶ
- 比較テスト作成画面でテスト情報を入力する
- 承認後、A/Bテストが開始される
Amazon広告でA/Bテストを行う際の注意点
Amazon広告でのA/Bテスト(比較テスト)に使用するコンテンツは、通常のコンテンツと同じガイドラインを遵守する必要があります。
比較テストの期間は、データ収集のため通常は8~10週間程度を要します。自動公開機能を利用することで、テストが4週間以内に有意な結果を得た場合、良い結果を自動的に公開できます。
また、閲覧数が少ないASINはテストの対象外となることがあり、コンテンツがガイドラインを満たしているかの検証に数日を要するため、開始日が数日遅れることがある点には注意しましょう。
広告のA/Bテストで成果につなげるためのポイント
広告運用の際にA/Bテストを適切に活用することで、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できますが、テストの効果を最大化するためには、いくつかの重要なポイントを押さえることが重要です。
ここでは、広告のA/Bテストを実施する際に成果を上げるための次の4つのポイントを解説します。
- インパクトの大きい部分から優先的に実施する
- 十分なデータをもとに分析する
- 同時期に検証する
- 継続的に取り組む
インパクトの大きい部分から優先的に実施する
広告のA/Bテストでは、すべての要素を一度にテストするのではなく、まずインパクトの大きい部分を優先的に実施することが重要です。
インパクトの大きい要素から取り組むことで、早期に成果を上げ、次のステップに進みやすくなります。
例えば、広告文やCTA、ターゲティング設定などは、広告の効果に大きな影響を与える要素です。これらの変更を最初にテストすることで、より迅速に結果を得ることができます。
十分なデータをもとに分析する
A/Bテストの精度を高めるためには、十分な数のインプレッションやクリックを集める必要があります。テストの少ないデータでは、偶然の要素が結果に大きく影響を与え、誤った結論を導く可能性があります。
特に、テスト期間中に一定数のクリックやコンバージョンが必要となるため、テスト期間は最低でも2週間以上確保し、十分なデータを収集しましょう。これにより、広告文やターゲティング設定が本当に効果的であるかを正確に判断できます。
同時期に検証する
広告のA/Bテストを実施する際には、同じテストを同時期に実施することが重要です。異なる時期に実施したテストでは、季節的な要因、競合の動き、マーケットの変動などの外的要因が結果に影響を与え、テスト結果の比較が難しくなることがあります。
なお、同時期に複数のA/Bテストを実施する場合は、それぞれのテストが互いに影響しないように、十分な管理が必要です。ターゲティングや広告文が重複していないかを確認し、テストの設計が複雑になりすぎないよう注意しましょう。
継続的に取り組む
A/Bテストは一度きりで終わりではなく、継続的に行うことで成果を最大化できます。広告市場は常に変化しており、ユーザーの関心や行動も時間とともに変わるため、A/Bテストを定期的に実施して、常に広告の最適化を図ることが重要です。
また、新しい商品やサービスが登場した場合、既存の広告戦略が必ずしも最適であるとは限りません。そのため、新商品やサービスを効果的にアピールするために、新たなA/Bテストを実施することが必要です。これにより、ターゲットオーディエンスに響く広告内容を導き出し、競合との差別化を図ることができます。
広告のA/Bテストで陥りやすい落とし穴
広告のA/Bテストは効果的な広告運用に不可欠な手法ですが、実施方法を誤ると望ましい結果を得られないことがあります。テストを行う際には、次の点を理解しておくことが重要です。
- 検証結果が必ずしも最適解を示すとは限らない
- 一時的にコンバージョン率やアクセス数が減少する可能性がある
- 仮説のアイデアが尽きて進展しない
ここでは、一つずつ解説します。
検証結果が必ずしも最適解を示すとは限らない
A/Bテストを実施する際は、結果が必ずしも最適な解決策を示すわけではないことを考慮する必要があります。
例えば、ある期間における広告のパフォーマンスが良かったとしても、それが長期的に有効であるとは限りません。また、テストに使用した変数がすべての状況に適用できるわけではなく、次回のキャンペーンや異なるターゲット層に対しては結果が異なるケースもあります。
そのため、A/Bテストの結果を盲信することなく、常に他のデータや市場の状況を考慮に入れて意思決定を行うことが求められます。
一時的にコンバージョン率やアクセス数が減少する可能性がある
A/Bテストの途中で、新しい広告パターンをテストしている期間に、コンバージョン率やアクセス数が一時的に減少することがあります。これは、テスト中の広告パターンが、既存のパターンに比べて期待通りの成果を上げられない場合に起こります。
このような事態は、テストの初期段階ではよく起こりますが、最終的にテストが終了し、最適な広告パターンが決まった後には改善されるでしょう。テスト中に一時的なパフォーマンスの低下があったとしても、それがテストの目的であり、最終的な改善に繋がることを理解しておく必要があります。
仮説のアイデアが尽きて進展しない
A/Bテストは仮説に基づいて実施されるため、初めは効果的なアイデアが見つかることが多いですが、テストを繰り返すうちに仮説のアイデアが尽きてしまうことも落とし穴の一つです。
特に広告の変数(文言、画像、ターゲティング設定など)に対するアイデアが枯渇すると、効果的な改善が難しくなり、テスト結果が停滞する恐れがあります。
定期的に新しい仮説を立て、異なる視点で広告の改善を試みると良いでしょう。また、市場の変化やターゲット層のニーズに合わせて、柔軟に仮説を更新することも重要です。
広告のA/Bテストで成果につながった弊社成功事例
最後に、広告運用においてA/Bテストを活用したことで成果につながった、弊社の成功事例をご紹介します。
A/Bテストで広告クリエイティブや入札戦略を強化。LP改善にも注力|株式会社ミラクレア様

メンタルサポート・コーチング事業を展開する株式会社ミラクレア様の、広告運用のサポートを担当させていただきました。
はじめにKPIを設定し、ランディングページの全面リニューアルを実施。その後、広告クリエイティブの改善、入札戦略の見直し、キーワードの再評価などを行い、広告品質を向上させました。A/Bテストとヒートマップ分析を繰り返し、タグを設置してコンバージョン計測精度を高めた結果、60日間でコンバージョン数が188%増加、CPAは53%減少しました。
リスティング広告のリンク先となるランディングページ(LP)の改善から取り組み、広告クリエイティブや入札戦略の精度を高めるためにA/Bテストを活用し、広告効果を大幅に向上させた事例です。
関連記事:【弊社事例】リスティング広告の成功事例6選!成功の法則&すぐ真似できる広告戦略とは?
こちらの事例と同様に、LPを運用中で、広告自体に問題があるというよりも、LP自体を見直した方が良いケースもあります。LPのA/Bテストの実施方法については、こちらをあわせてご覧ください。
関連記事:LPのABテストはなぜ重要?具体的なやり方や注意点とおすすめツール3選を紹介
まとめ
広告運用におけるA/Bテストは、データに基づき広告パフォーマンスを最適化し、投資対効果(ROI)の向上を目指すために役立つ手法です。メリットとして、少ないコストで効果的な改善が可能であり、広告文やキービジュアル、ターゲティングの最適化が図れます。
広告のA/Bテストを実施する際に重要なのは、インパクトの大きい部分からテストを行い、十分なデータを用いて分析し、継続的に検証を重ねることです。ただし、トラフィック不足や仮説のアイデアが尽きるといった課題には注意が必要です。
社内での広告運用やA/Bテストの実施が難しい場合、広告代理店に依頼するのもおすすめです。
クロスバズの「バズAD(BUZZリスティング)」では、幅広いWeb広告媒体に対応し、A/Bテストを活用した精度の高い効果測定を行い、確実な運用成果を追求しています。
また、広告の遷移先となるランディングページ(LP)の改善やフルリニューアルにも対応しており、広告運用全体の最適化を実現します。広告運用や効果測定にお困りの際は、ぜひクロスバズにご相談ください。
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