広告代理店大手・電通の分析によると、2017年のインターネット広告媒体費のうち、全体のおよそ80%をディスプレイ広告・リスティング広告が占めるという結果が出ています。
このことから分かる通り、Web広告に携わる以上、リスティング広告の運用は避けて通れない分野ではあるものの、実際に「リスティング広告とはどういうものか」と聞かれると答えに詰まる方も少なくありません。
初心者の方には取っつきにくい印象を与えるリスティング広告ですが、実際に仕組みを理解すると、より多くのことを知りたくなる分野でもあります。
この記事では、リスティング広告を初めて担当する人に向けて、リスティング広告の概要・仕組み・費用について、最低限知っておきたいことをお伝えします。
目次
リスティング広告とは、ユーザーの検索キーワードに応じて表示される広告のこと
リスティング広告をざっくり説明すると、ユーザーが検索エンジンに打ち込んだ「検索キーワード」に応じて表示される広告のことです。
ユーザーの積極的な意思に対して答えを返すタイプの広告のため、Web集客・ターゲット取り込みの面で効果的な広告の一つとして認知されています。
試しに「インターネット広告」と検索してみると……
リスティング広告をイメージするには、Google・Yahooなどを使って、特定のキーワードで検索すると分かりやすいでしょう。
例えば、検索窓に「インターネット広告」と入力すると、実際に検索結果のすぐ下にアドレスの前に「広告」と太字で書かれた項目(下記画像の赤色枠:リスティング広告領域)と、その下に表示される項目(下記画像の青色枠:SEO領域)に分かれているのが確認できるはずです。
純粋に検索結果に呼応して表示されたコンテンツ(上記青色枠のSEO領域)は、リスティング広告の下に表示されるため、表示順位の面ではリスティング広告が優先しますから、その分露出の機会も増えます。
そのため、すぐに答え・解決法を求めているユーザーを取り込みやすいのです。
SEOとリスティング広告の根本的な違いとは?
SEO(Search Engine Optimization)はリスティング広告と対比されることが非常に多いキーワードです。
日本語にすると「検索エンジン最適化」という意味で、こちらも一言で解説するのは難しい単語です。
SEOは、自然検索で自社サイト・コンテンツの上位表示を試みるための施策全般を指します。
主にGoogleから高評価される(上位表示するに足りるサイト・コンテンツと判断してもらう)ために、サイト運営者が自発的に行う施策で、効果が出れば費用を抑えつつ露出の機会を増やせます。
これに対してリスティング広告は、お金を払って露出を増やす方法ですから、即効性があり、広告費さえ出せば、誰でもサイトを上位に表示することができます。
求める結果は同じでも、その過程に違いがあるのです。
リスティング広告の掲載順位はどうやって決まるのか
リスティング広告の中でも、掲載される順番には差が生じています。
具体的には、掲載された場所が上であればあるほどクリックに結びつく確率が高いため、順位を上げることが重要になってきます。
順位を上げるための具体的な方法は、大きく分けて2つあります。
- 入札金額を増やす
- 広告のレベル(質)を上げる
リスティング広告は、自社広告を表示させる際に「キーワードに対して1クリックあたりいくらなら広告料金を支払ってよいか」を決めた上で設定します。
この作業がリスティング広告における入札の意味なのですが、狙うキーワードの人気によっては価格が高くなる傾向にあります。
逆に、よりニッチなキーワードになればなるほど、入札価格は下がっていきます。
また、同じ価格で広告を出している場合、それぞれの広告のうち「品質スコア」の高いものから順に表示されていきます。
品質スコアは、クリック率や広告とキーワードの関連性など、複数の要素が総合的に評価されて決まります。
つまり、同質と判断された広告が複数存在している場合、入札金額が多い方が有利になります。
リスティング広告の仕組みと費用感について
入札金額を増やすと広告が掲載されやすくなることは分かりましたが、どれくらい料金が発生するのか、具体的な金額は狙うキーワードによって変わってきます。
続いては、リスティング広告を実際に運用した場合に料金はどのような形で発生するのか、目安となる金額はどのくらいになるのか、大まかな仕組みと費用感についてお伝えします。
広告がクリックされると料金が発生する
リスティング広告において料金が発生するタイミングは、商品やサービスを購入してもらったタイミングではありません。
広告文が「クリック」されたタイミングで料金が発生します。
広告が検索結果に表示されたタイミングでは、料金が発生することはありません。言い換えると、クリックがされなければ無料で広告を表示させることができます。
尚、ユーザーの間違いでクリックされてしまったとしても、そのクリック分の料金は発生します。
また、お金をかけてクリック率を高めても、広告ページ自体に魅力を感じてもらえなければ、結果につながらない点に注意が必要です。
予算をどのように決めるのか
リスティング広告の予算を組むためには、以下の2つの方法があります。
- 利益を想定して費用を計算する
- キーワードの難易度から費用を計算する
一般的な広告と同様、最終的に手元に残る利益を想定して予算を組む場合、【1件あたりの利益×目標件数】で計算します。
費用の計算方法としては合理的ですが、思い通りに結果が出ないことも珍しくありませんから、こまめに見直しが必要です。
キーワードの難易度に応じて費用を計算する場合、Google広告の「キーワードプランナー」というツールを使う方法が主流です。
各キーワードにつき、クリック数や月額費用などの予測値を確認できますから、それをもとに予算を立てていきます。
ただ、数値がズレていることも珍しくなく、こちらも随時見直しをかけなければなりません。
リスティング広告にかける予算の相場について
リスティング広告のよいところは、広告にかけたい予算を決める際の自由度が高いことです。
Google広告を例にとると、金額だけで言えば1円から入札ができ、1日あたりの予算上限も決められるため、自社の予算に応じて狙うキーワードに予算を割り振ることができます。
しかし、一つひとつのキーワードにかかる費用は少なくても、予算を立てる場合は総額で検討しなければなりませんから、相場観を押さえておくことが大切です。
広告予算の目安は、月額数万円で格安レベル・月額20~80万円が主な業種の一般的なレベル・月額100万円以上でWeb広告に力をいれているレベルと考えれば分かりやすいでしょう。
もちろん、各社の思惑や競合他社の状況によって、発生する金額は変わってきます。
あくまでも目安としてお考え下さい。
リスティング広告を運用するメリット・デメリット
リスティング広告は、Web広告の利点を活かした運用が魅力です。
その反面、管理画面が複雑で様々な機能があり、素人では十分に使いこなせず、成果を出すことが難しい一面もあります。
広告が持つメリット・デメリットを事前に理解した上で、効果的な運用を目指しましょう。
メリット:費用感や成果が分かりやすく、即効性がある
そもそも、リスティング広告は「ユーザーの検索なしには成り立たない」広告です。
ユーザーには何らかの悩み・問題・知りたいことがあって、それを解決するために検索しているわけですから、何らかの答えを探しているユーザーに対し、訴求する効果が強い広告形態の一つと言えます。
自分たちで費用をいくらかけるか決めた後で、随時予算を見直すこともでき、結果が出た段階で広告を縮小するのも簡単です。
配信状況・費用対効果に関しても、管理画面を通して現状を都度確認できるので、スピーディーな判断が可能です。
なにより、SEOとは異なり、予算さえかければ”好きなキーワード”で”検索結果の上部”に”今すぐ広告を出すことができる”のがリスティング広告の良いところです。
デメリット:人気キーワードを攻めるには予算が必要
選んだキーワード・作成した広告が成果につながらなかった場合、広告主にはいくつかの選択肢が生まれます。
そのまま運用調整による改善を実施しながら継続するのか、結果が出なかった広告は取り下げるのか、WEBサイト(LP)そのもののクオリティに問題はないのか、考え出すとキリがありません。
また、客観的なデータを導き出すには、一定の配信期間、配信ボリュームを確保してデータを集める必要があります。
そのキーワードを掲載する費用が高い場合、ある程度の予算を準備しておかないと、継続することが難しくなってきます。
人気キーワードで広告を掲載するためにはまとまった予算が必要になり、予算を確保できない場合、十分な結果や検証ができないまま広告を停止する恐れがあるのです。
運用会社の腕がモノを言う世界
リスティング広告は、誰でも広告アカウントを開設でき、広告の配信をすることができます。
ただ、競合の参入が増えており、自助努力だけで結果を出すのは、年々難しくなってきている印象です。
優良なリスティング運用会社は、多数のクライアントと関係を持っているため、各業種のデータが集約されています。
それを運用にフィードバックできる分、個人レベルで行うよりも成果を出せる手法を数多く知っているため、確実に結果を出すなら運用会社を頼るのが近道です。
おわりに
以上、リスティング広告の概要や仕組み・費用についてお伝えしました。
限られた予算の中で結果を出そうと考えると、覚えるべきこと・注意すべきこと・配信内容など様々な点を考慮し、設定・運用していく必要があります。
参入障壁が低いことから競合が多く、運用調整を誤ると成果に結びつかないといった厳しい一面もあります。
ただ、広告が確実に売上を伸ばしていることが客観的に分かる場合は、運用のモチベーションも上がるはずですから、常に傾向を確認しながら運用することが肝心です。