動画(YouTube)広告の入稿サイズや入稿規定を聞かれた際に、Googleのヘルプページから情報を得たいと思う事も多いと思いますが、Google広告のヘルプやYouTubeのヘルプなどに情報が渡っており、どこを見ればよいか分かりにくく感じる事もあると思います。
また、動画広告はフォーマット(スキップ可能なインストリーム広告やバンパー広告など)も多いため、それぞれに推奨の動画などがあり、少し複雑になっています。
広告の入稿規定と各ヘルプページの紹介に加え、縦型の動画は使えるのか?など、フォーマットの解説を交えながらまとめていきたいと思います。
目次
動画(YouTube) 広告の入稿規定
動画広告は、主に「YouTube にアップロードされている動画」を利用して配信するため、YouTubeのエンコードの推奨設定であれば、動画広告にも活用できると思って頂いて問題ありません。
そのため、YouTube広告の入稿ルールは、「YouTube上にアップできる事」になるため、これから広告に配信する動画を作成する場合、YouTubeのエンコードの推奨設定で作成いただく事がおすすめです。
※アセットライブラリでGoogle広告の管理画面上から動画を作成も可能になっています。
なお、YouTube動画を広告で使用するには、 広告ポリシーを準拠している必要があり、YouTubeにアップロードした後、公開または限定公開に設定する必要がありますので、動画を検討する前にポリシーに抵触がないか十分注意をしてください。
YouTube動画の推奨エンコード設定
コンテナ | MP4 |
音声コーデック | AAC-LC |
動画コーデック | H.264 |
フレームレート | 記録したときと同じフレームレート |
動画のアスペクト比 | 横長:16:9 (一部フォーマットは、縦長 9:16、スクエア 1:1対応) |
色空間 | BT.709 |
ビットレート
タイプ | SDR | SDR | HDR | HDR |
映像ビットレート | 標準フレームレート (24、25、30) | 高フレームレート (48、50、60) | 標準フレームレート (24、25、30) | 高フレームレート (48、50、60) |
1080p | 8 Mbps | 12 Mbps | 10 Mbps | 15 Mbps |
720p | 5 Mbps | 7.5 Mbps | 6.5 Mbps | 9.5 Mbps |
解像度
横長以外の解像度はヘルプページには明記されていませんが、他媒体などにも利用することを考えて、汎用性が高い下記解像度がおすすめかと思います。
- 横長:16:9
1080p(フルHD): 1920×1080
720p(HD): 1280×720 - 縦長:9:16
1080p(フルHD): 1080×1920
720p(HD): 720 x1280 - スクエア:1:1
1080 (フルHD): 1080×1080
上記のように、YouTubeのエンコードのルールに則っていれば、動画広告にも基本的には利用ができるため、入稿規格は厳しく定められてはいませんが、動画広告のフォーマットによって、動画の尺(長さ)などの設定が変わってきますので、次はフォーマットごとの解説をしていきましょう。
動画フォーマットごとの動画の長さと推奨アスペクト比
動画広告のフォーマットによって、動画の長さなどのルールがあります。
下記は、2022年12月現在のヘルプページに掲載されている内容となります。
動画形式 | 動画時間 | 推奨アスペクト比 |
---|---|---|
スキップ可能なインストリーム広告 | 12秒〜3分推奨 (10秒以上必要) | 16:9 (9:16、1:1) |
スキップ不可のインストリーム広告 | ~15秒以内 | 16:9 (9:16、1:1) |
インフィード動画広告 (TrueView ディスカバリー広告) | 上限なし | 16:9 |
バンパー広告 | ~6秒以内 | 16:9 (9:16、1:1) |
アウトストリーム広告 | 記載なし | 16:9 (9:16、1:1) |
マストヘッド広告 | 記載なし | 16:9 |
縦長動画も準備しよう
なお、推奨のアスペクト比は16:9になっていますが、動画フォーマットによっては縦型の画像の利用も可能となっています。
16:9のアスペクト比の動画を用意していれば、モバイルなどの画面にあわせて縦型や正方形等に自動調整されますが、縦にスマホを持った場合、横長の動画では上下余白ができ、かなり小さく配信されることになってしまいます。
SNSなどに合わせて縦にスマホを持って閲覧するケースが多くなっている為、 縦長動画に対応したフォーマットでは、モバイル最適化のために、9:16の縦型や1:1のスクエアのアスペクト比の動画も用意しましょう。
縦長の動画の対応状況:スキップ可能なインストリーム広告、スキップ不可のインストリーム広告、アウトストリーム広告、バンパー広告に対応
※縦長動画を作成する場合の注意点
ユーザーが全画面モードにしていない場合に表示の一部分がトリミングされてしまうため、動画の上部10%と下部25%に重要なメーセッジを表示しないように注意しましょう。(参考:Google広告ヘルプ「スクエア動画や縦長の動画を使ってモバイル ユーザーにアプローチする」)
各フォーマットの特徴
では、さっそくそれぞれのフォーマットについて確認してみましょう。
スキップ可能なインストリーム広告
スキップ可能なインストリーム広告は、YouTubeやパートナーのウェブサイト、アプリで配信されている動画の前後や途中に再生される動画広告です。再生開始から5秒が経過すると、ユーザーは広告をスキップすることができます。
動画の長さは10秒以上(12秒~3分が推奨)とありますが、ユーザーに集中してサービスを伝えるためには、20秒~1分程度の動画がおすすめになると思われます。 動画の最初の5秒が勝負になるため、訴求やブランド、ユーザーへのメッセージなどの大切な情報を盛り込みましょう。
CPV 単価制を使用した場合は30秒以上広告を視聴した際または、動画を操作した際に料金が発生し、自動入札の場合はインプレッションに基づいて料金が発生しますが、スキップされた際には視聴として計測されません。
キャンペーン目標
- 販売促進
- 見込み顧客の獲得
- ウェブサイトのトラフィック
- ブランド認知度とリーチ
- 商品やブランドの比較検討
※Google 広告で [目標を設定せずにキャンペーンを作成する] を選択した場合にも使用可能。
動画の長さ
12秒~3分推奨(10秒以上必要)
※上記の範囲に満たない動画広告も投稿可能
※動画アクションキャンペーンに使用する際は10秒以上(20~60秒程度がおすすめ)
動画広告が表示されるタイミング・仕組み
- 動画の再生前後、または再生中
- 再生開始から5秒が経過すると、ユーザーは広告をスキップ可能
動画広告の表示場所
- YouTube動画再生ページ
- Google動画パートナー上のウェブサイトやアプリ
料金
- CPV 単価制:動画を 30 秒間視聴、または30 秒経つ前に動画を操作した場合に料金が発生
- 目標インプレッション単価、目標コンバージョン単価、コンバージョン数の最大化:インプレッション数に基づいて料金が発生(視聴1000回当たりの平均額)
参考:動画広告フォーマットの概要(YouTubeヘルプ)、スキップ可能なインストリーム広告(Google広告ヘルプ)
スキップ不可のインストリーム広告
YouTubeやパートナーのウェブサイト、アプリで配信されている動画の前後、または途中に再生される動画広告です。スキップ不可となり、最大15秒配信されます。視聴者に動画を最後まで表示してメッセージ全体を伝えるときに使用します。
キャンペーン目標
ブランド認知度とリーチ
※Google 広告で [目標を設定せずにキャンペーンを作成する] を選択した場合にも使用可能。
動画の長さ
15秒以下
動画広告が表示されるタイミング・仕組み
- 動画の再生前、再生中、再生後に再生される
- 15秒以下の動画広告で、広告をスキップは不可
動画広告の表示場所
- YouTube動画
- Google動画パートナー上のウェブサイトやアプリ
料金
目標インプレッション単価制:広告の表示回数に基づいて課金
参考:動画広告フォーマットの概要(YouTubeヘルプ)、スキップ不可のインストリーム広告(Google広告ヘルプ)
パンパー広告
6秒以内の短い広告を再生。短い広告でユーザーのストレスを与えず伝えたいメッセージをアピールが可能です。
単価が低いのも特徴です。短い動画になるため、目的に集中したシンプルでインパクトのある動画がおすすめです。
キャンペーン目標
ブランド認知度とリーチ
動画の長さ
6秒以内
動画広告が表示されるタイミング・仕組み
- 動画の再生前、再生中、または再生後に6秒以内で再生
- 広告をスキップは不可
動画広告の表示場所
- YouTube動画
- Google動画パートナー上のウェブサイトやアプリ 条件を満たすと YouTube TV にも表示
料金
目標インプレッション単価制:広告の表示回数に基づいて課金
参考:動画広告フォーマットの概要(YouTubeヘルプ)
アウトストリーム広告
アウトストリーム広告は、モバイル専用の広告になります。 Google 動画パートナー上のウェブサイトやアプリにのみ表示され、 音声なしで再生が開始され、ユーザーがタップするとミュートが解除されます。単価を抑えて動画のリーチを拡大できる特徴があります。
目標
リーチ拡大
動画の長さ
動画の長さについてルールは定まっていませんが、15秒から30秒程度がおすすめかと思います。
動画広告が表示されるタイミング・仕組み
- モバイル専用広告
- 音声なしで再生が開始され、ユーザーがタップするとミュートが解除される
- Google 動画パートナー上のウェブサイトやアプリにのみ表示(YouTubeには非表示)
動画広告の表示場所
- モバイルウェブ プレースメント:バナーに表示
- モバイルアプリ:バナー、インタースティシャル、インフィード、ネイティブ形式で表示(縦向きモードと全画面表示モードの両方に対応)
料金
視認範囲のインプレッション単価(vCPM):動画が 2 秒以上再生された場合にのみ料金が発生
参考:動画広告フォーマットの概要(YouTubeヘルプ)、アウトストリーム動画広告フォーマットとは(Google広告ヘルプ)
インフィード広告(旧名称:TrueView ディスカバリー広告)
以前はディスカバリー広告といわれていましたが、名前が変わりました。
ユーザーが動画コンテンツを探しているタイミングで(YouTube の関連動画の横、YouTube 検索結果、YouTube モバイルのトップページなど)で動画をアピールため、動画広告の誘導などにおすすめです。
キャンペーン目標
商品やブランドの比較検討
動画の長さ
規定なし(15秒以上がおすすめ~長尺)
※ YouTubeにアップロードしている動画であればどんな動画でも掲載可能
※動画アクションキャンペーンに使用する際は10秒以上(20~60秒程度がおすすめ)
動画広告が表示されるタイミング・仕組み
- ユーザーが動画コンテンツを見つける際に表示(他のYoutube動画内には表示されない)
- 広告は動画のサムネイル画像とテキストで構成(広告のサイズと見え方は表示先によって変わる)
- ユーザーが広告をクリックすると、YouTube の動画再生ページかチャンネル ホームページで動画が再生(動画画面遷移前は音声が出ず、動画画面に遷移してから音声が出る)
動画広告の表示場所
- YouTubeの検索結果画面
- YouTube関連動画の横
- YouTubeモバイルのトップページ
料金
クリック型課金:ユーザーがサムネイルをクリックして広告を視聴した場合のみ課金
参考:動画広告フォーマットの概要(YouTubeヘルプ)、インフィード動画広告(Google広告ヘルプ)
マストヘッド広告
マストヘッド広告は、YouTubeトップページの上部に掲載される広告になります。Youtubeのトップページの非常に目立つ部分への配信になるため、テレビCMのように大規模なオーディエンスへのリーチが見込めます。新しい商品やサービスの認知度UPや短期間の販売イベントなどにおすすめです。
広告は予約配信となるためGoogleの担当者や提携代理店などに依頼する必要があります。
広告表示場所
- パソコン:YouTubeホームフィードの上部
- モバイル:YouTubeアプリまたは m.youtube.com のホームフィード
- テレビ画面:テレビ向けYouTubeアプリのホームフィードの上部
※いずれも音声無しで再生
料金
インプレッション単価(CPM)制課金
参考:動画広告フォーマットの概要(YouTubeヘルプ)、YouTubeマストヘッド(Google広告ヘルプ)
おわりに
動画広告を開始する機会も多くなってきていますが、YouTubeに入稿できていれば、広告に対する仕様は柔軟性があり、かえって推奨設定がわかりにくいという場合も多いかと思います。
入稿規定として、エンコードのルールを紹介することはもちろんですが、フォーマットごとの特徴を踏まえて推奨の動画の設定を紹介できるとよいと思います。
また、動画広告を代理店に任せる場合の、メリット・デメリットや代理店の選び方、Google広告以外の動画広告の特徴も別記事でご紹介していますのでぜひ確認してみてくださいね。