EC業界・DtoC業界を取り巻く環境は、薬機法の厳格化や参入企業増加の影響を受け、年々厳しさを増しています。
競合他社に負けない独自の戦略が求められる中、LPの集客力・訴求力アップの新たな手法として、「アンケートLP」が注目されています。
この記事では、アンケートLPの役割やメリットと、作り方や作成時のポイントを基礎から解説します。
アンケートLPの質問(設問)の例や、参考になるデザイン事例4選もご紹介していますので、アンケートLP制作のヒントにしてみてください。
目次
アンケートLPとは
アンケートLPとは、簡単なアンケート設問が盛り込まれたLP(ランディングページ)です。
アンケートを通して商品への興味・関心を高め、商品詳細ページなどのコンバージョンページへスムーズに導くための手法の一つです。
ユーザーのアンケート参加を促すために、クーポンや割引などのインセンティブを設ける形式もよく見られます。
回答が完了し、関心が高まったタイミングで特典を付与することで、ECサイトへの誘導や購買など次のアクションの後押しをする効果も期待できます。
アンケートLPにはクッションページとしての役割がある
アンケートLPは主に、広告と商品ページの間の「クッションページ」として活用されます。
Webマーケティングにおけるクッションページとは、広告と商品ページの間の緩衝材(クッション)として、ユーザーの興味・関心の醸成や、商品購入・サービス導入意欲を高めるためのページの総称です。
クッションページには、アンケートLPのほかにも「記事LP(ニュース型LP)」や、アンケートLPと記事LPを統合した「複合型LP」があります。
アンケートや記事内に商品に関する予備知識を含めることで、興味・関心を高めたうえで、自然な流れで商品ページや商品LPへ誘導できます。
アンケートLPと他のLPとの違い
アンケートLPと他のLPには、明確な違いがあります。
ここでは、アンケートLPと他のLPとの違いについて、商品の情報量・所要時間・ユーザー行動の3つの視点で解説します。
商品の情報量の違い
商品LPは商品の魅力を伝えるために、機能や強み・体験談・使い方・料金プランなど、多くの情報が盛り込まれていることが特徴です。
記事LPは、ブログ記事やニュース記事のように論理的な記事形式で商品を紹介するのが一般的で、こちらも情報量は多めです。
一方で、アンケートLPは最低限の商品情報とアンケート設問のみで構成されています。
例えば、サプリのアンケートLPの場合、「主成分の●●を知っていますか?」と聞くだけなど、あくまでも簡単なアンケートの中に関連するワードを盛り込む程度です。
情報量を絞ったアンケートLPは、購買行動のステージを「認知→興味関心→比較検討→購買」の4つに区分した場合の、「認知」の段階にいる人向けといえます。
所要時間の違い
記事LPの文字数は、一般的に1,000〜2,000文字ほどで、完読するまでに2〜3分程度の時間を要します。
商品LPは、文字数は少ないものの複数のコンテンツが盛り込まれているため、すべてに目を通すとなると数分かかるでしょう。
対して、アンケートLPは30秒~1分以内で回答できるものが多く、短時間で簡単に完読できます。ユーザーの負担が少なく、ページ離脱も低減しやすいことが特徴です。
ユーザー行動の違い
商品LPや記事LPの場合、ユーザーは提供された情報を受け取る(読む)だけですが、アンケートLPはユーザー参加型であるため、能動的な行動を促すことが可能です。
能動的に参加できるコンテンツは、「双方向のコミュニケーションがとれる」「広告感が少ない」「サンクコスト効果がある」といった、次章で紹介するメリットにもつながります。
アンケートLPのメリット
具体的に、アンケートLPにはどのようなメリットがあるのでしょうか。アンケートLPの5つのメリットを確認していきましょう。
ユーザーと双方向のコミュニケーションがとれる
商品LPや記事LPは、企業側からの一方向の商品訴求が基本の形ですが、アンケートLPでは、質問に対してユーザーが答えるという双方向のコミュニケーションが可能です。
双方向のコミュニケーションは顧客との関係構築につながり、企業やブランド側としてもメリットとなります。
具体的には、アンケートを通して商品理解を促し、興味・関心を高めるのと同時に、回答してもらったアンケート結果を商品・サービスの改善や開発、ニーズ調査に役立てられます。
広告感が少ないため心理的抵抗を軽減できる
LPにアンケートという名目があると、広告っぽさを軽減できることも利点です。
JIAAが実施した「インターネット広告に関するユーザー意識調査」によると、ユーザーの広告受容度は9割以上と高い反面、インターネット広告については、半数以上のユーザーがネガティブなイメージを抱いているのが現状です。
広告感の少ないアンケートLPを用いることで、心理的抵抗を抑えられるため、自然な訴求が可能になります。
出典:インターネット広告に関するユーザー意識調査結果を発表|一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)
サンクコスト効果による途中離脱の防止が期待できる
サンクコスト効果とは、すでに使った費用や労力に対して「もったいない」という心理が働き、それまでの行動を継続してしまう傾向を意味します。
参加型のアンケートLPは、「せっかく途中までアンケートに答えたから、最後まで回答して特典をもらおう」と完読されやすく、サンクコスト効果による途中離脱の防止が期待できます。
薬機法を遵守しやすい
医薬品や化粧品などの分野では、薬機法(旧:薬事法)によって誇張表現や虚偽表記が厳しく取り締まられています。
記事LPや商品LPのように、長文であったり大量の情報をLPに盛り込んだりすると、薬機法に違反していないかの判別も複雑になります。
アンケートLPは限られた商品情報のみを掲載するため、薬機法を遵守しやすいこともメリットです。
施策検証を行いやすい
商品LPや記事LPは比較すべき項目が多岐にわたり、施策検証が煩雑になりがちですが、アンケートLPでは設問の改善が主な施策検証となります。
A/Bテストの実施やヒートマップを導入するなどして、ユーザーの反応の傾向を見ながら項目の順番を入れ替えるといった改善策を検討できます。
関連記事:LPのABテストはなぜ重要?具体的なやり方や注意点とおすすめツール3選を紹介
アンケートLPの作り方
アンケートLPの作り方の手順は、次の通りです。
コンバージョンまでのストーリーを設定する
はじめに、ユーザーがアンケートLPにアクセスして、コンバージョンに至るまでの全体のストーリーを考える必要があります。
例えば、健康サプリのアンケートLPの場合、ユーザーの行動心理として次のように設定できます。
- 最近疲れやすさを感じている。
- 広告に出てきた健康サプリが気になった。
- アンケートに回答すればお試しクーポンがもらえるらしい。
- 実際にアンケートに参加してみたところ、知らなかった成分も知れて興味が湧いた。
- 1分もかからずアンケート完了できて、クーポンももらえたので、試しに購入してみることにした。
ターゲットユーザーを明確にし、そのユーザー層の悩みを解決できるストーリー構成をつくっておくことで、この後のデザインや設問設定を行いやすくなります。
ファーストビューの作成
ファーストビューは、広告からアンケートLPへ遷移して最初に目に入る部分です。
アンケートLPのファーストビューには、アンケート名・商品名・商品画像・特典などの要素が必要です。
ユーザーがアンケートに回答する動機は「お得感」や「気軽さ」であるため、競合調査を行い、魅力的な価格・割引率・キャンペーン内容を設定すると良いでしょう。
また、ファーストビューは明確さが何より重要です。「何のアンケートなのか」「質問数」「目安時間」「回答メリット」を分かりやすく提示し、ユーザーの行動を喚起しましょう。
アンケートの設問の作成【設問例】
アンケートの設問数(質問数)は平均3~5問ほどで、なかでも「4問」が主流となっています。
アンケートLPの設問では、アンケートに答えてもらいながら、自社の商品やサービスへの興味・関心を高める流れにすることが重要です。
設問例を2種類ご紹介するので、設問を検討する際の参考にしてみてください。
【悩みから入る訴求】 Q1)●●に悩んでいませんか?→はい or いいえ ※ユーザーの悩みを自覚してもらうための設問。Yes・No形式で回答しやすく、「はい」が選ばれやすい Q2)●●で●●予防になるとご存知ですか?→はい or いいえ ※悩みの解決策を提示し、興味をひくための設問 Q3)●●で話題の●●に興味はありますか?→興味あり or 興味なし ※Q2で予防になると伝えているため、「興味あり」が選ばれやすい Q4)●●の特徴の中から、気になるものをお選びください。→複数回答 ※「興味あり」と回答したあとであるため、前向きに商品と向き合ってもらいやすい |
【現状への不満から入る訴求】 Q1)今の●●に満足していますか?→はい or いいえ ※ユーザーの不満を顕在化させるための設問。現状に満足していないことを認識してもらい、問題意識をもって、このあとの設問に敏感に反応するように促す Q2)●●できる●●をご存知ですか?→はい or いいえ ※商品の重要性を知ってもらうための設問。実はこんな解決策があると伝えて、購入や導入の意欲を引き出す Q3)●●の特徴の中で、魅力的に感じるものをお選びください。→複数回答 ※現状の不満に気付いた状態で、それを解消できる特徴を提示することで期待度を高める Q4)次の口コミの中から、気になるものをお選びください。→複数回答 ※体験談や口コミの中から、共感できるものを見つけてもらい、「自分も!」と前向きな検討を促す |
オファーメッセージの作成
アンケート回答の直下に、アンケート回答への感謝と特典付与を伝えるオファーメッセージを設置しましょう。
オファーメッセージとして商品ページやECサイトのカートへ遷移できるリンクを設置することで、自然な誘導が可能になります。
アンケートLP作成時のポイント
アンケートLP作成時には、次の2つのポイントを押さえることで成果につながりやすくなります。
回答しやすさと心理導線を考慮する
質問文が難しい・設問の順番が分かりにくいといった場合、ユーザーが離脱する可能性があります。文字数を少なくすることや、「Yes/No」形式にするなど、直感的に回答できるような工夫が必要です。
また、アンケート回答の過程で、ユーザーの潜在的な悩みの解決策を提示することで、商品の価値を理解してもらいやすくなります。
この時、過度な期待を抱かせる内容は、誇張表現として薬機法に触れる恐れもあるため注意しましょう。
オファー時の強い訴求は不要
商品LPでは、ユーザーをコンバージョンへ後押しするために、「数量限定!お急ぎください」「人気商品のため、在庫切れの恐れがあります」といった強い表現が使われることもあります。
一方で、アンケートLPでは強い言葉は必要なく、むしろ価格や細かい説明を省いてシンプルな表現にするケースが多いです。
アンケートの回答を終えたユーザーは「せっかくここまで回答したから」と、自然と次のアクションへのコンバージョンボタンを押したくなるため、シンプルな設計でも十分な効果が期待できます。
アンケートLPの活用がおすすめな商材・業界
アンケートLPは、BtoC・BtoB・DtoCのカテゴリーや、無形・有形の商材を問わず活用できます。
特に、個人によって悩みやニーズが異なる、次のような商材・業界に適しています。
美容・健康・資格・保険・不動産・自動車・金融商品・転職・婚活など
潜在的なニーズは抱えているものの、はっきりとは自覚していない層や、興味はあるものの詳しくは知らない層に有効です。
アンケートLPのデザイン参考事例
「アンケートLPのデザインが浮かばない…」とお困りの方向けに、参考になるデザイン事例をピックアップしてご紹介します。
iMUSE 免疫ケア サプリメント|キリンホールディングス株式会社
キリンが提供する「iMUSE 免疫ケア サプリメント」の免疫に関するアンケートLPです。
ファーストビューに「カンタン1分」「話題のサプリが500円で試せる」と、回答時間や特典を明示し、気軽にお得に参加できることをアピールしています。
設問は全4問で、チェックボックスから選ぶ形式です。回答完了後、そのまま下へスクロールすると、「詳細はこちらから」のボタンから商品LPへ移動できます。
アンケート設問と最低限の商品情報のみのシンプルな構成となっており、さまざまな商材で参考にしやすいアンケートLPデザインといえます。
アスタリフト Opme|株式会社 富士フイルム ヘルスケア ラボラトリー
「アスタリフト Opme」の保湿ケアに関するアンケートLPは、通常の商品LPにアンケート項目を加えた複合型のアンケートLPです。
全4問のアンケートへの回答が完了しないと、商品詳細ページへの遷移ボタンが押せないよう設定されています。
設問の途中に商品紹介の画像や動画も設置し、一方的な紹介にならない程度の適度な情報量で、興味・関心を高めつつ、商品理解も促しています。
アンケート要素のある商品LPを作りたい方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
おいしいコラーゲンドリンク|森永製菓
森永製菓の「おいしいコラーゲンドリンク」のアンケートLPでは、ファーストビューに設置されたルーレットに当たるとアンケートに参加でき、回答するとお得なキャンペーンに招待される仕組みです。
単にキャンペーンを提示するよりも、「当たり」「招待」という文言で参加者のモチベーションをあげる工夫が参考になります。
アンケートの回答には、通常のチェックボックスではなく、マウスオーバーと押下で色が変わる立体的なボタンデザインが採用されています。
全体的にユーザーのアクションに反応する「インタラクションデザイン」が多用されており、ゲーム感覚で参加できるアンケートLPです。
アンケート機能のついたインタラクティブ動画も話題
インタラクティブ動画とは、ユーザーのクリックやタップに応じて、情報表示やストーリー分岐が可能な動画です。
アンケートLP内で活用できそうな、アンケート機能つきのインタラクティブ動画をご紹介します。
全身脱毛サロン|STLASSH
全身脱毛サロンのSTLASSHでは、アンケート型のインタラクティブ動画を公開中です。
脱毛に関するアンケートに答えていくと、最終的に自社サロンの紹介にたどりつく導線になっています。
インタラクティブ動画をLPに埋め込むことで、動画を見る感覚で手軽にアンケートの実施と、購買意欲の醸成ができますが、制作には通常よりも高度な技術が求められます。
自社でインタラクティブ動画の作成やLPへの設置に対応するのが難しい場合は、LP制作会社への外注を検討することをおすすめします。
まとめ
アンケートLPを活用すると、簡単なアンケートへの回答を通して商品への関心を高め、コンバージョンまでスムーズに導くことが可能になります。
アンケートLPの作成では、ユーザーの心理導線に沿った設問設定や、ストレスなく回答できるのUI/UXの実現が不可欠です。
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