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リスティング広告のコンバージョンが小数点になるのはなぜ?アトリビューションモデル徹底解説

beco
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2023.08.07 10:36
リスティング広告のコンバージョンが小数点になるのはなぜ?アトリビューションモデル徹底解説

こんにちは!クロスバズのベコです。

リスティング広告の管理画面や、代理店からのレポートを見た際に、コンバージョンの数値が小数点になっていることがあり、何でだろう?と思う事がありませんか?

コンバージョンというと、商品の購入やリードの獲得など、目標を達成した件数なので整数になるのはわかるけれど「1.5」のような小数点になっているのは違和感があると感じる方も多いと思います。

今回は、この「コンバージョン数の小数点の謎」について解説していきましょう。

ちなみに、小数点になる意味は何となく知っている方も、2023年7月には、ルールベースのアトリビューションモデル(ファースト クリック、線形、減衰、接点ベース)のサポートが終了し、9月以降はこれらのアトリビューションモデルが全て「データドリブン」に移行になる為データドリブンの機能を含め、アトリビューションモデルの仕組みを今のうちにしっかり理解しておきましょう。

では、早速解説していきます!

コンバージョンって何?

リスティングにおけるコンバージョンとは、そのアカウントやキャンペーンの目標となるものを表します。

コンバージョンは、管理画面上で計測可能な数値目標となり、例えばECであれば「商品の購入」。サービスであれば「お申込み」「予約完了」。リード(見込み客)の獲得であれば「資料請求」「問い合わせ」など、広告の目的となるものをいいます。(コンバージョンを測定するためにはタグやコンバージョンの設定が必要です)

リスティング広告で計測できるコンバージョンは、フォーム問い合わせ以外にも、電話ボタンのタップなど、ボタンタップや、商品購入の前段階のカートに入った数や、フォーム遷移、サイト訪問数などもコンバージョンとしてカウントできます。(来店や、入電数なども測定できることもあります。)

これらの目標に対する獲得数を「コンバージョン数」といいます。

コンバージョンが小数点になった理由

先にも少し触れたように「商品が1個売れたらコンバージョンが1件」、「問い合わせが1回あったらコンバージョン1件ならわかるけど「コンバージョン数が0.5件とか小数点になっているのってどういうこと。」と疑問に思う人も多いと思います(商品が半分売れるなんてことはないし。)

Google広告の場合は、2019年ごろに、アトリビューションモデルというコンバージョン計測の仕組みが導入されたことによって、小数点で表示されるようになっています。

アトリビューションモデルは、コンバージョンに結びついたクリック(キーワード)の貢献度を測るための機能です。 アトリビューションモデルは、1度のコンバージョンを獲得するために発生したクリックを計測し、キーワードの貢献度やコンバージョン経路を計測することができます。

例えば、一人のユーザーがコンバージョンする際に「何度かクリックして(広告を見て)コンバージョンする」というケースが良くあると思いますが、

アトリビューションモデルが導入される前(ラストクリックで計測している時)は、コンバージョンの直前にクリック された広告やキーワードだけを計測する仕組みだったのですがアトリビューションモデルの導入によって、コンバージョンに至るまでに発生したクリックを全て計測する仕組みに変わりました。

もちろん、計測方法が変わったといっても、例えば 「商品が1個売れたら、コンバージョン1件」 というルールが変わってしまったわけではありません。

この文章では、ほぼ分からないと思いますので、実際の例をあげてみましょう

例えば、「歯列矯正」の病院を探しているとします。

  1. 「歯列矯正」と検索すると、いくつかの広告やオーガニック検索の結果が出てきたので、A歯科医院 、B歯科、 C歯科の広告をクリックし、どんな種類の矯正があるかを確認しました。
  2. マウスピース矯正に興味があったので、「マウスピース矯正」で検索し、広告で マウスピースの見出しを出している、A歯科医院 、B歯科、 C歯科の広告をクリックしました。
  3. 家からの近くが良いと思ったので、「○○区 マウスピース矯正」と検索しました。 いくつかの広告が表示されたのでA歯科医院 、C歯科の広告をクリックしました。
  4. マウスピース矯正で良いかなと思いつつ、「裏側矯正」も気になるなと思い「裏側矯正」で検索し、E矯正歯科の広告をクリックしました。
  5. 最後に、何度か見かけた A歯科医院 がサービスとしてもよいと思ったので「A歯科医院」を名前で検索し広告をクリック。費用や期間を確認し、予約申込みをしました

上記を、A歯科医院のコンバージョン経路で整理するとこんな感じです。

1コンバージョンするまでに、発生した広告クリック4回

1.キーワード「歯列矯正」で表示された広告をクリック。
アトリビューションモデルの場合、 コンバージョン 0.25

2.キーワード「マウスピース矯正」 で表示された広告をクリック 。
アトリビューションモデルの場合、 コンバージョン 0.25

3.キーワード「○○区 マウスピース矯正」 で表示された広告をクリック 。
アトリビューションモデルの場合、 コンバージョン 0.25

4.(キーワード「裏側矯正」はクリックなし)

5.キーワード「A歯科医院」で表示された広告をクリック
アトリビューションモデルの場合、 コンバージョン 0.25
ラストクリックの場合、コンバージョン1

「フォームから予約」コンバージョン

予約(コンバージョン)を1件取得する為に、同じユーザーが、 A歯科医院の検索広告を4回クリックしていることになります。(上記の1.2.3.5の検索で4回クリック)

この場合、1回のコンバージョン(CV)を獲得するために、4回のクリックがあったため1クリックは0.25になります。 (正確には等分で割る訳ではなく、クリックの価値によって分配が変わる事がありますが、ここでは便宜的に均等割りで考えます)

1コンバージョン ÷ 4クリック = 0.25

そして、コンバージョンに貢献したキーワード 「歯列矯正」 「マウスピース矯正」 「○○区 マウスピース矯正」 「A歯科医院」(とその時表示された広告)に、0.25ずつコンバージョンが計測されます。

例えば

コンバージョンするまでに、1回広告をクリックした場合、キーワード(広告)に1
コンバージョンするまでに、2回広告をクリックした場合、 キーワード(広告)に、0.5ずつ
コンバージョンするまでに、3回広告をクリックした場合、 キーワード(広告)に 、0.33ずつ

といった形となります。(正確には等分で割る訳ではなく、クリックの価値によって分配が変わります。 )

なんでこんなに分かりにくい計測方法にしたのでしょうか。 これには理由があります。

ラストクリックのデメリット

まず、アトリビューションモデルに切り替わった背景に、ラストクリックだけでは本当のキーワードの価値が測れないという問題があります。

上記の例の場合、ラストクリックで計測している場合、「A歯科医院」 のキーワードにはコンバージョンが計測されますが、その他の「歯列矯正」「マウスピース矯正」「○○区 マウスピース矯正」といったコンバージョンに貢献したキーワードには、管理画面上では数値が全く残りません

実際は、 「A歯科医院」のキーワードだけではなく、 「マウスピース矯正」「○○区 マウスピース矯正」と検索されたことにより、 「A歯科医院」 をお客様が認知したり、広告やLPを何度か見る事で意思が強まったから予約に至ったと考えられますが、

ラストクリックされたキーワードの「A歯科医院」だけが、コンバージョンの数値がついて、成果の良いキーワードに見えてしまうという現象が発生します。

ブランド名キーワードだけにコンバージョンが計測されてしまうケースが増えると、ブランド名だけが成果の良いキーワードだと誤認したり、場合によっては他のキーワードはクリックされるだけで成果に結びつかない、費用対効果の悪いキーワードと考えて削除するケースも出てしまいます。

アトリビューションモデルのメリット(キーワードの貢献度を計測)

その点アトリビューションモデルでは、コンバージョンに貢献したキーワードを貢献度に合わせて計測しているので、どのキーワードが重要かが一目で確認できます。

Googleの担当者の人から聞いた、上手い説明では

アトリビューションモデルをサッカーに例えて

「サッカーでゴールを決めるのは重要だけれど、そのゴールをアシストしているプレイヤーがあるから、ゴールに繋がっている。ラストクリックだけを計測しているという事は、ゴールを決めた人だけを評価して、アシストしたプレイヤーを無視しているのと同じ。」のような形で教えてもらいました。

実際に、アトリビューションモデルを使用する前は、クリックだけをされているキーワードが非効率だからと除外したら、急に全体の成果が落ちてしまって、重要なキーワードだったと後から気が付くといったケースや、「成果が悪そうと思うけど、クリックされているし、重要度が分からないので削除できない」というケースもたくさんありました。

アトリビューションモデルのメリット(コンバージョン経路の学習)

もう一点、特に自動入札を使っている際に、機械学習にとって重要なポイントとして、コンバージョン経路の学習とできるという点があげられます。

特に、2023年9月にデフォルトの設定となるデータドリブンでは、コンバージョンに至った経路だけではなく、コンバージョンに至らなかった経路も計測しており、 その経路を比較することで、コンバージョンに至るパターンを分析する事ができます

また、今後は、Google 検索だけではなく、ショッピング広告、YouTube 広告、ディスプレイ広告、ファインド広告で発生したすべてのインタラクション(クリックや動画エンゲージメントなど)を分析することができ、ユーザーがどのような経路でクリックした場合、目標を達成しやすいかなどの分析をし、目標に最も貢献した広告に対し、最適化を進めることが可能になっていきます。

このように、コンバージョンの経路を計測・分析するために、アトリビューションモデルは重要な役割を果たしているため、アトリビューションモデルは、出来るだけ早めにラストクリックから切り替えたほうが良いと思います。

アトリビューションモデルのデメリット

ちなみにデメリットは、小数点がついてしまってちょっと見にくいところです。キーワードや広告(その他デモグラのデータ、地域など)に、それぞれ貢献度に合わせたコンバージョン数をつける為のものなので、 そこは目をつぶりましょう。

また、何度も言いますが、小数点がついても、コンバージョンはあくまでも1件は1件ですが、最初のクリックとコンバージョンしたラストクリックが、月を挟んでしまった場合、月のコンバージョンが小数点になって、レポートするときに、どっちの月で獲得できたかよくわからなくなってしまうといった問題も若干ありますので、お客様には、上記のメリットとレポート上のデメリットをお話して、OKを頂くようにしましょう。

おわりに

アトリビューションモデルは非常に便利な機能ですが、その反面なんだかめちゃくちゃわかりにくいです。お客様や上司に「これ何?なんでコンバージョンが小数点なの?」と聞かれたときに、スラスラ答えられるようにしっかり学習しておきましょう!

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