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インボックス導入のきっかけ
10月某日の昼食を終えた頃、役員兼web制作責任者のJiro氏から電話がかかってきた。要件を尋ねると「インボックスを社内で導入したい」とのことだった。「いんぼっくす?」何のことだかさっぱりわからず、Jiro氏に説明を仰いだ。
話を聞くと、どうやら思考を整理するための手法らしい。”インボックス”という響きがクリエイティブなように感じ、直感的に「おもしろそう!」と感じた。すぐにJiro氏に”インボックス”を社内で導入するよう伝え、電話を置いた。
インボックス(inbox)って何?
Jiro氏はタスク管理術「GTD(Getting Things Done)」の”インボックス”という考えに基づくと言っていた。 簡単にいうと、全社共有のチャットルームに「気づき」や「やりたいこと」を各社員が思いつくままに書き出し、後でメンテするような考え方らしい。(わかりづらいと思うので、実例を後述する)
“インボックス”と聞くと、メールソフトの”受信トレイ”をイメージされる方もいるかもしれないが、その認識で相違はないのだと思う。
インボックス作成の手順
インボックスは誰でも、どの会社でも簡単にできる仕事術である。インボックス作成の流れを以下に記載する。
①チャットツール上(slackやchatworkなど)で”インボックス”というグループチャット(グループチャネル)を作成
②作成したグループに社員全員を招待
③各社員が思いつくままに”メモ感覚”で「仕事上の気づきややりたいこと、アイデア」を好きなタイミングで書き出していく
ここで「インボックスにおける大事なポイントは運用ルールにある!」とはJiro氏の言葉である。彼が定めたルールを紹介する。
インボックスの運用ルール
▼運用ルール
1.思いついた事はなんでも書いてよい
2.内容がまとまってなくても書いてよい
3.自分自身が後で対応しようと思っていることも書いてよい
4.5分以内に個人で解決できることは書かないでよい
5.チャット内での返信は禁止
6.返信をする際には他のチャットルームに引用を用いて返信
7.確認した内容にはマークを付ける
8.対応する内容にはマークを付ける
9.解決した内容にはマークを付ける
10.内容を整理しやすいように事業ごとのタグを後つける「#広告」「#LP」など
11.記載したメモは週に1回は担当部署で5W1Hを決めるなど対応整理をする
12.TOは指定しない
▼使用するタグ
広告事業:#広告 制作全般:#制作 ランディングページ事業:#LP コンテンツマーケティング:#CM 会社全般:#会社 その他:#その他
【実例】実際にインボックスに投稿された内容
インボックスの説明が不十分で、少しイメージがわきづらいように思うので、実際に弊社内のインボックスに投稿された内容を共有させていただく。
▼クロスバズのインボックスに投稿された内容
Y氏:notionで社内wikiを作るのはどうでしょうか? 10月14日 15:59
J氏:「ランディングページ 制作」で調べたらSEO2ページ目の記事でクロスバズが紹介されていた。(そういうサービスのサイト) このページの紹介文をもっと引きのあるものにしたら反応が上がりそう。 10月14日 16:11
I氏:広告を含めSNS運用自体を学びたいと思っています。 10月14日 17:34
T氏:顧客のインタビュー記事を増やしたい 10月20日 21:11
など
こんな感じで気づいたことや思ったことをみんなが自由に”インボックス”(グループチャット)に投稿していく。
インボックスを導入して良かったこと
インボックスの素晴らしい点は運用ルールの「投稿に対する返信NG」にあるように思う。例えば、社内の誰かが「何か(良い取り組み)を社内で取り入れてみてはいかがでしょうか?」と発言した際、「それはいいね!」と賛同されるケースもあれば、「それはやらない方がいい」と否定されるケースもあるかもしれない。
インボックス内ではチャット内での返信はNGと定めているため、自分のアイデアを否定される心配がない。そのため、思うことがあれば自由に投稿できる”雰囲気”があり、心理的安全性が担保された状態である。
また、「今すぐやらなくてもよいけど、いつかやった方が良さそうな取り組み(例:SDGs、環境への取り組みなど)」を自分のノートにはいくつか記載していたが、全社メモとして共有できる仕組みがインボックスの優れている点であるように感じる。
自分の内に秘めている間は、常に自分にボールがあるように感じてしまったり、かといって、誰かに依頼するのも気が引けるケースは多くある。全社に共有することで、少し肩の荷が下りた感じがするのは私だけ?なのだろうか…いずれにせよ、将来的に取り組んだ方が良いことを可視化し、優先度づけしやすい点はインボックスの良いところである。
集まったアイデアの多くをまだ実現できていないことが現状の課題である。優先度を決め、少しづつアイデアを実行していきたいと思う。