料率制の手数料体系の問題点
前編の「代理店の”闇”!?インターネット広告代理店の運用手数料はなぜ20%なのか?」に続き、後編では“料率制の手数料モデル”の問題点について、インターネット広告代理店の立場から論じていきます。
料率制の手数料体系には構造上の欠陥があると考えています。タイトルに記した”闇”とはその欠陥を指します。
料率制の手数料体系を代理店に視点を置くと、利用した広告費に応じて代理店の手数料が決まる収益モデルです。つまり、広告費を使えば使うほど、代理店が儲かる仕組みと言い換えることができます。
代理店側にも社内における成果指標(運用指標)やノルマが存在しています。
例えば、広告運用担当者は社内の成果指標として、担当広告アカウントの「月額広告費における消化比率」や「手数料額(つまり粗利益)」が社内の成果指標として使用されています。
これらの数字を指標として設定する背景には、代理店側の利益(運用手数料)を増やしたいという意図が含まれています。
消化比率を指標として設定する意味とは、「広告費を予算いっぱいまで消化することが目的」になりかねない指標であると考えます。
多くのインターネット広告代理店の運用担当者は月末になるとそわそわしはじめます。
心境としては以下のような感じです。
(今月も残り一週間なのに消化比率80%・・)
(広告費80万円が余っている、、残り一週間でなんとか80万円を消化しないといけない)
代理店にとって、広告費を消化することが⼿数料の増加につながり、予算消化が運⽤の⽬的になる恐れがある料率制の手数料体系が抱える問題点です。
広告費の主語は顧客にあるべき
ここまであえて、“広告費の消化”という言葉を使用してきましたが、代理店によっては、”消化”という言葉をNGとしている代理店も存在しています。
“消化”という言葉は、代理店側が手数料を得ることを目的とした主語であり、運用代行における本質を見失った言葉であると言えるでしょう。
広告費はお客様から預かるご予算であり、消化することは目的ではなく、成果を最大化するために活用する考えが根底になければいけません。
当社では料率制の手数料は撤廃し、固定手数料(月額2万5千円~)を採用しています。それにより、広告費の”消化”を目的から除外し、純粋に成果を追い求めることができる構造(料金モデル)としています。
尚、代理店が”消化”を目的として運用しているか判断する際、代理店から日別レポートをもらい、確認するのがよいでしょう。最終週や月末に大幅に広告費を利用している場合、消化が目的になってしまっているケースがあるので注意が必要です。
前編・後編まとめ
前編から”手数料20%”の問題点について論じてきましたが、なぜ今回のテーマを取り上げたかを最後に記したいと思います。
当社に運用代行をご依頼いただくお客様の半数は他代理店からのリプレイスによるものです。広告アカウントを確認(過去配信状況の分析)させていただくと杜撰な運用がなされているアカウントや代理店が浮き彫りになります。
“代理店”にネガティブな印象をいだいているお客様は一定数存在し、上述したような経験に基づくと考えられます。
代理店の存在意義を問う問題であり、本テーマを代理店の立場から発信することに意義があると考えました。
広告費は”消化”するものではなく、顧客の利益を追求する”資源”です。
代理店の収益構造を理解した上で、代理店を上手に活用いただけますと幸いです。