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雑談

世界のことばから、知らない世界を覗く【翻訳できない世界のことば】

wasabi
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更新日:2025.09.25 15:44

こんにちは。クロスバズのディレクター wasabiです。

突然ですが、みなさんは自分のあだ名やハンドルネームはありますか?私は社内での執筆の際、”wasabi”というハンドルネームを使用しています。

この”wasabi”という名前は「侘び寂び」という言葉から取っています。「なんかエモそうだな…」そんな動機でつけました。

「侘び・寂び」ってどんな意味を持つかご存知でしょうか?侘び・寂びの説明って難しいですよね…。

【新しく完璧でキラキラしたものとは対照的に、静かで古びていて、自然なものに深い趣や精神的な豊かさを感じ取る心】
といったところでしょうか。

私たちは学校で、外国語の単語を日本語と一対一で対応させ、コミュニケーションツールとして学び暗記してきました。「翻訳する」は “translate”、「世界」は “world”、「ことば・言語」は “Languages”…。

でも、これらで本当に私たちの心が感じていることの全てを伝えきれているのでしょうか?

世界には、たった一言では翻訳できない、その国ならではの豊かな感情や美しい情景を切り取った言葉が無数に存在します。そういった言葉を知ることができると、その言葉の持つ文化の扉を開き、自分の中になかった新しい感情の物差しを手に入れることができます。

今日は、「翻訳できない世界のことば」を通して、普段知り得ない世界の素敵な表現・ニュアンスを楽しんでいただければと思います。

※参考書籍:『翻訳できない世界のことば』(エラ・フランシス・サンダース/著、 前田 まゆみ/翻訳)

■情景と感情を切り取る、世界の言葉たち

日本 | 木漏れ日 (Komorebi)

【木々の葉の間から差し込む太陽の光、そのちらちらと揺れる様子】

まずは、私たちの母国語である日本語からのピックアップです。”Sunlight filtering through the trees” と説明はできても、あの穏やかで、きらきらとした情景、そしてそれを見た時の静かで満たされた気持ちまでを、木漏れ日 という短い一言で表現できるのは、日本語ならではの感性です。四季折々の自然の表情を繊細に感じ取ってきた、日本の文化が生んだ代表的な翻訳できない言葉です。

スウェーデン | mångata (モーンガータ)

【水面に映った、道のように見える月明かり】

太陽の「木漏れ日」があるように、月にもまた、特別な光の言葉があります。北欧の静かな夜、湖のほとりに立った時を想像してみてください。揺れる水面に映った月光が、まるで自分のもとへと続く一本の銀色の道のように見える。その、息をのむほど幻想的で、静謐な情景全体をmångataという一言が描き出してくれます。

マレーシア | pisang zapra (ピサンザプラ)

【バナナ一本を食べるときの所要時間】

南国マレーシアからは、思わず「なぜ?」と声が出てしまうようなユニークな言葉です。これは「約2分」という時間の単位を表す言葉だそうです。「ちょっと待ってて、pisang zapraくらいだから」といった具合に使うのでしょうか。時間に追われるのではなく、日常のありふれた行為を基準にする、おおらかでユーモアあふれる国民性が垣間見えます。

スウェーデン | fika (フィーカ)

【日々の仕事の手を休め、コーヒーや甘いものを片手におしゃべりしたり、休憩したりするために集うこと】

またもや、スウェーデンからの紹介。彼らの文化を理解するのに欠かせない、温かい習慣を表す言葉です。これは単なる「コーヒーブレイク」ではありません。効率や生産性のためだけでなく、仲間とのコミュニケーションを深め、心にゆとりを持つために意図的に設けられる大切な時間。それがfikaです。動詞としても使われるそうです、「ちょっとfikaしない?」使っていきたい粋な言葉ですね。

フランス | feuillemort (フイユモール)

【枯葉のように色が薄れてゆく(さま)】

おしゃれで詩的な感性を持つフランスからは、こんな美しい形容詞の紹介です。feuilleは「葉」、mortは「死」。秋の終わりに、生命の輝きを失い、儚く色褪せていく葉っぱの色合い。その少し物悲しくも美しい、絶妙なニュアンスの色をこの一言で表現します。ファッションやインテリアの世界でもインスピレーションを与えてくれそうな言葉ですね。

ドイツ | Drachenfutter (ドラッヘンフター)

【夫が自分の悪い振る舞いを許してもらうために、妻に贈るプレゼント】

質実剛健なイメージのドイツですが、夫婦間の機微を表すこんな面白い言葉があります。直訳は「竜の餌」。怒って火を噴く竜(=奥さん)をなだめるための餌、といったとこでしょうか。花束やチョコレートなどが一般的だそうですが、そのプレゼントにDrachenfutterという名前がついているのがなんともユニークだと思います。少し気まずく、でも愛情も感じられる、そんな夫婦の一場面を切り取った言葉です。

Webディレクターの仕事とは、言葉の「解像度」を上げること

なぜ「翻訳できない言葉」はこれほどまでに魅力的に感じられるのでしょうか?

それは、これらの言葉が、今までぼんやりとしか認識していなかった感情や状況に、くっきりとした輪郭を与えてくれるからだと思います。fikaを知れば、ただの休憩ではない「関係性を育むための時間」という価値を認識できるようになります。Drachenfutterを知れば、「ごめんなさい」という言葉だけでは伝えきれない複雑な心理に名前をつけられるのです。

これは、Webディレクターという私たちの仕事に、非常に重要な考え方を与えてくれます。

Webサイトのボタン一つをとっても、「購入する」なのか「カートに入れる」なのか。「資料請求」なのか「まずは無料で試してみる」なのか。たった一語、ほんの少しの表現の違いで、ユーザーが抱く印象や行動は劇的に変わります。私たちは、サービスやプロダクトが持つ独自の価値や、届けたい相手が心の奥底で感じているであろう期待感を、的確な「言葉」に変換していく役割を担っています。

まさに、翻訳できない想いを、最適な言葉で翻訳する仕事と言えるのかもしれません。

言葉はまだまだ可能性を秘めている

mångataが描き出す静かな光の道のように、言葉はユーザーの心を照らす道標となります。pisang zapraという言葉が、私たちに時間の新しい捉え方を示してくれるように、たった一つの言葉が、凝り固まった私たちの視点を軽やかに変えてくれることもあります。だからこそ、私たちは言葉の持つ力を信じ、その可能性と真摯に向き合わなければなりません。

これからも一人のWebディレクターとして、世界中の豊かな言葉たちから感性を学び、届けたい想いの解像度を極限まで高めていく。そんな言葉との対話を、続けていきたいと思います。

クロスバズではあなたのサービス・商品を世の中に届けるお手伝いをさせていただきます。些細なことでもお気軽にご相談ください。お問い合わせお待ちしております。

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