不動産取引は売買において動く金額が多いため、マーケティング担当者は購入検討者が理解しやすい正確な情報を出さなければなりません。
判断に関わる不動産広告には守るべき法律やルールなどが数多く存在します。
本記事では、不動産広告に関わる法律や規制・不動産広告の表示ルール・不動産広告のトラブル防止法などについて説明すると同時に、おすすめの広告手法も紹介します。
この記事を最後までお読みいただき、不動産広告に関する知識を深め、効率よく集客できる広告の手法を見出してください。
目次
知っておくべき不動産広告に関わる法律や規制
不動産の広告を出すにあたっては、以下に挙げる法律や規制に関して、きちんと把握しておく必要があります。
- 宅地建物取引業法
- 不当景品類及び不当表示法
- 不動産の表示に関する公正競争規約
それぞれの法律・規制の内容や定められた背景などについて、説明します。
①宅地建物取引業法
宅地建物取引業法は「宅地建物取引業の適正な運営と消費者保護を目的とする法律」で、宅建業法とも呼ばれます。
不動産の売買は一般的な商品の売買と比べるとかなり特殊なやり取りになるため、不動産会社にとって、有利な取引になりかねません。
そこで、不動産業者の不正な取引を防ぐために宅地建物の流通の円滑化を図り、不動産購入者の利益を保護する目的で制定されたのが、宅地建物取引業法です。
宅地建物取引業法では、不動産広告において以下の規制が設けられています。[注1]
広告開始時期の制限
不動産の売買に関する広告は、関連する法律で定められた許可・確認があった後でなければ出すことができません。
取引態様の明示義務
不動産広告は、不動産の売買などに関する広告を出す際、自己が以下のいずれに該当するかを明示しなければなりません。
- 契約の当事者として契約を成立させる
- 代理人として契約の交渉などを行う
- 契約の媒介を行う
誇大広告等の禁止
不動産広告では、所在地や規模・形状・将来的な利用の制限・周辺環境や交通の利便性・代金や支払い方法などに関して、事実誤認につながる虚偽広告や誇大広告を出すことが禁じられています。
②不当景品類及び不当表示法
不当景品類及び不当表示法は、商品やサービスの品質・内容・価格等を偽って表示を行うことを規制し、不当景品類及び不当表示法過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限するための法律で、景品表示法や景表法とも呼ばれます。
先ほど触れた「宅地建物取引業法」は、宅地建物という名称からも分かるように不動産分野に特化した法律ですが、不当景品類及び不当表示法は一般的なビジネスにおいて消費者への誤認を防ぐために、広告の内容を規制するためのものです。 不当景品類及び不当表示法では、不動産広告において以下の規制が設けられています。[注2]
景品類の提供の制限
不動産業者が一般消費者に対し、一定の範囲以上の景品類を提供することは禁止されています。例外は以下のとおりです。
- 懸賞によって提供する景品類
…取引価格の20倍または10万円のいずれか低い価格の範囲、かつ景品類の総額は取引予定総額の100分の2以内 - 懸賞によらないで提供する景品類
…取引価格の10分の1または100万円のいずれか低い価格の範囲
不当表示の禁止
ローンや築年数、建築の可否に関する誤った表示、おとり広告などを禁止する規制です。例としては、以下のようなケースが挙げられます。
(例)
- 建築後1年以上経過しているにも関わらず「新築」として広告を出す(築年数に関して事実誤認を招く表示)
- 実際に取引するつもりがない不動産の広告を出す(おとり広告)
③不動産の表示に関する公正競争規約
不動産の表示に関する公正競争規約は、公正取引委員会に認定された不動産広告の決まりで、公正競争規約ともいいます。内容は、不動産業界が定めた不当景品類不当表示防止法をもとに、規定をまとめたものです。
一般的なビジネス全般に適用される景品表示法の内容を、不動産業界向けに特化したもので、公正競争規約を遵守すると必然的に景品表示法を守ることにもなります。
「宅地建物取引業法」も「不当景品類及び不当表示法」も、不動産広告を出すうえではきちんと把握しておくべき法律です。
ただ、不動産広告で違反しないためには、実質的には公正競争規約の内容を知ることがもっとも重要であると言えます。
法律を破った場合の罰則
上述した法律や規制に違反すると相応の罰則が科されます。
宅地建物取引業法に違反した場合の罰則は、違反の内容によって懲役刑・罰金刑・過料とさまざまです。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
違反例 | 罰則内容 |
---|---|
誇大広告 | 「6ヵ月以下の懲役」または「100万円以下の罰金」またはその両方の罰則 |
相手の判断に重大な影響を及ぼす事項を故意に告げなかった (事実告知義務違反) | 「2年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」またはその両方 |
不当景品類及び不当表示法に違反し、消費者庁などの措置命令に従わずに違反をやめない場合 | 「2年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」またはその両方 |
不動産の表示に関する公正競争規約の違反 | ・不動産公正取引協議会からの調査が入る ・警告と併せて50万円以下の違約金 ・警告に従わないときや再度表示規約に違反する場合には、別途500万円以下の違約金 |
不動産広告の表示ルール
不動産広告を出すにあたって、上でも少し触れましたがルールがあります。不動産広告の表示ルールとしては、主に以下5点が挙げられます。
- 広告開始時期が制限される
- 取引態様を明示する義務がある
- フォントや色彩などが顧客に見やすいよう配慮されている
- 特定事項の明示義務がある
- 特定用語の使用基準がある
それぞれのルールについて、詳しく説明します。
広告開始時期が制限される
宅建業法によって、不動産の広告を出す時期は制限されています。未完成物件が建築に必要な許可や確認を得られて販売できると確認されたあとでなければ、広告を出す・契約をすることはできません。
広告を出したり契約を締結したりした際に、土地の造成や建物の竣工を迎えていない場合、完成した宅地や建物が広告の記載と大きく異なってしまう可能性があります。
広告開始時期の制限は、買主に大きな不利益を与えかねない要素を排除する目的で設けられています。
取引態様を明示する義務がある
不動産に関する広告を出す際は、宅地建物取引業者がどのように関与しているか(売主・貸主・代理など)を明示する必要があります。
不動産の取引にはさまざまな関係者が関わるため、宅地建物取引業者の立場は、毎回同じわけではありません。
取引への関わり方によって、宅地建物取引業者が守るべき法律などは微妙に異なります。そのため、広告を出すにあたっても、広告主が売主なのか・貸主なのか・売主の代理なのかなどを、都度明示しなければなりません。
フォントや色彩などが顧客に見やすいよう配慮されている
大半の方にとって不動産は、人生でもっとも高額な買い物になります。そのため、不動産を購入するべきかどうか、購入する場合はどの物件にするかといった判断は、しっかりと情報を吟味したうえで下されることが望ましいです。
その際に重要となる広告のフォントや色彩なども、顧客が見やすいよう配慮されていなければなりません。
特定事項の明示義務がある
特定事項とは、不動産それぞれの状態や環境条件などを指します。また、宅地の造成や建物の建築方法・リフォームの手順なども含まれるため、注意しなければなりません。
また、売却する際の一般価格の相場などに関しても、明示する義務が付加される場合があります。
顧客が物件を購入する際は、物件に関する情報基準がどのようなものかわからないことが多いため、その辺りの特殊情報の開示も義務付けられるのが一般的です。
特定用語の使用基準がある
「顧客が分かりやすい表現を心がける」ということは上述した通りですが、それにともなって不動産広告では特定用語に関して使用基準が設けられています。
使用基準が設けられているのは、「新築」「ダイニング・キッチン(DK)」「リビング・ダイニング・キッチン(LDK)」の3つで以下に該当しない場合は、用いることができません。
- 新築:建築後1年未満かつ未入居の住宅
- ダイニング・キッチン(DK):台所と食卓が一部屋にまとまっているスペース
- リビング・ダイニング・キッチン(LDK):居間とダイニング・キッチンが一部屋にまとまっているスペース
不動産広告のトラブル防止法
上述したルールを守ることは、不動産広告を行ううえで欠かせませんが、トラブル防止のために気を付けることがいくつかあります。不動産広告でのトラブルを防ぐためには、以下3点を意識する必要があります。
- 誤解を招く最上級表現や曖昧な表現は控える
- 優良物件に見せかける写真やキャッチコピーは控える
- リフォーム済の場合は必ずその旨を明記する
それぞれについて、詳しく説明します。
誤解を招く最上級表現や曖昧な表現は控える
広告を出す目的は取り扱う商材のよさや素晴らしさをアピールするためです。
しかし、不動産広告では、宅地建物取引業者にとっては有利でも、顧客にとっては虚偽と受け止められてしまう表現などは規制されています。
たとえば「絶対」「完全」「万全」などの完全表現は用いることができませんし、「最高」「厳選」「他に類を見ない」といったような最上級表現も禁止されています。
また、「外装が美しい」「周辺の相場よりも割安」など、根拠のない曖昧な表現も禁止です。
ただし、表示内容を裏付ける合理的な根拠があれば、用いても問題ありません。
優良物件に見せかける写真やキャッチコピーは控える
広告で取り扱う商品の内容・品質について、実際よりも優良であると誤認するような表示を「優良誤認」と言います。
これは当然不動産広告でも禁止されています。
たとえば駅からの徒歩分数が8分であるにも関わらず「5分」と表示したり、専有面積が35.62㎡なのに「36.00㎡」と表示したりするのも優良誤認に該当します。
不動産広告においては、良い点と欠点を包み隠さず公示することが、一般的な商品の広告以上に求められるのです。
リフォーム済の場合は必ずその旨を明記する
広告で取り扱う物件がリフォーム済の場合は、必ずその情報を明記する必要があります。
購入した後にリフォームを行う必要があるかどうかは、顧客の判断に大きく影響を与える要素のひとつなので、その点をきちんと広告に明記しなければなりません。
明記を怠ると、内容に誤認が生じる場合があります。
不動産広告のターゲット
不動産に限らず商品や商材にも当てはまりますが、広告作成前にはターゲットをしっかりと定めておかなければなりません。
ただ、広告で取り扱う物件には郊外の一戸建てもあれば都市部のタワーマンションもあります。
物件の立地や間取り等の条件によって、購入を検討する層は大幅に異なるため注意が必要です。
物件の購入を前向きに検討してもらえそうなターゲットとしては、主に以下の層が挙げられます。
- 子持ち家庭
- 富裕層
- キャリアウーマン
- 公務員
- 賃貸マンションやアパート在住者
- シニア層
具体的には、以下のとおりです。
子持ち家庭
子持ち家庭は、子供の成長にともなって、より部屋数の多い物件を検討し始めます。
富裕層
富裕層は自分が住む物件を探すのはもちろん、投資用物件などを探すケースも多いため、自分の生活範囲外の物件を購入することも多々あります。
キャリアウーマン
キャリアウーマンは多くの収入を得ている人が多く、より働きやすい環境を求めて、職場の近くや職場へのアクセスがよい地域の物件を探すケースが見られます。
公務員
公務員は安定した収入および雇用形態のため、住宅ローンの審査に通りやすいです。また、基本的に転勤もほぼないため、若いうちから物件の購入を検討する方が多いのが特徴です。
賃貸マンションやアパート在住者
賃貸マンションやアパート在住者の中には、いつかは自分の家を購入したいと考えている方も多く、子供が高校を卒業して一人暮らしを始めるといったようなライフステージが変化するタイミングなどで、物件の購入を検討する方もいます。
シニア層
シニア層は定年退職による退職金を得たことをきっかけに、物件の購入を検討する方も多いです。
シニア層の場合、すでに持ち家の方も賃貸物件にお住まいの方もいますが、どちらの場合でも今後の生活によりフィットするであろう物件の購入を検討する方は、一定数います。
このように、不動産の購入を前向きに検討するターゲットはそれぞれ属性が異なります。
どういったターゲットに狙いを定めた物件なのかを踏まえたうえで、広告の内容を適切に調整するよう心がけましょう。
不動産広告ならリスティング広告がおすすめ
不動産広告のターゲット層はとても幅広いことが分かりました。
また、近年は不動産広告の媒体や形態もさまざまです。新聞広告やチラシのほか、インターネットを活用するケースも少なくありません。
さまざまな層に効果的な広告を出すためには、リスティング広告がおすすめの手法のひとつとして挙げられます。
不動産広告においてリスティング広告がおすすめな理由としては、主に以下3点が挙げられます。
- 興味・関心のある顧客にピンポイントでアプローチできる
- 費用を抑えつつ顧客を取り込める
- 臨機応変な対応が可能
それぞれの理由について、詳しく説明します。
興味・関心のある顧客にピンポイントでアプローチできる
リスティング広告は、該当するキーワードで検索したユーザーに広告を配信するものです。興味・関心をもって「地域名 一戸建て」などのキーワードで検索したユーザーに対して、ピンポイントでアプローチできる点が大きなメリットといえます。
費用を抑えつつ顧客を取り込める
不動産は長期間売れないこともあるため、長い目で広告活動を行う必要があります。
広告を出す際にネックとなるのが「取り扱っている商品が売れなくても広告費用はかかり続ける」ということです。
一方、リスティング広告は、ユーザーによるクリックや資料請求などがない限り、課金のないシステムとなっています。広告にかかる費用は抑えつつ、興味・関心のある顧客をしっかり取り込める点がポイントです。
臨機応変な対応が可能
リスティング広告は、出稿したり取り消したりといった対応を、臨機応変に行えます。
ひとつの不動産に対して複数の顧客が購入を検討しているケースは、現実問題として頻繁に起こります。そのような場合、ほかの顧客に先んじて買付を入れた顧客が、「広告活動を控えてほしい」と要求するケースもあります。
紙媒体の広告は、チラシの配布を中止するとその分余分な出費が生じますが、リスティング広告は顧客の要望にすぐ対応できます。
不動産広告の知識を深めて効果的に集客を行おう
不動産広告を出す場合、宅地建物取引業法や不当景品類及び不当表示法・不動産の表示に関する公正競争規約といった法律や規制を守る必要があります。
また、広告開始時期が制限や誤解を招く最上級表現や曖昧な表現は控えるといったルールや注意点に関しても、きちんと把握しておかなければなりません。
また、チラシや新聞広告などによる広告の成果が思わしくない場合、リスティング広告の活用がおすすめです。リスティング広告はある程度費用を抑えつつ、不動産に興味・関心のある顧客へピンポイントでアプローチすることができます。
リスティング広告の活用でお悩みの際は、「BUZZリスティング」の利用をご検討ください。
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