LPの成果を高めるためには、CRO(CVR最適化)が欠かせません。LP運用の際に用いられる「CRO」という言葉ですが、意味や役割まで明確に理解できている方は意外と少ないのではないでしょうか。
この記事では、CROの意味やLPO・EFOとの違い、CROを実施する目的、手順、代表的な10の施策、分析・検証方法、実施する際のポイントを徹底解説します。
LPのCRO(CVR最適化)とは
CROとは、「Conversion Rate Optimization(コンバージョン率最適化)」の略称です。
CROは最適なCVR(コンバージョン率)を目指すこと、またはそのための施策を意味します。CVRを最適化することで、LP運用の成果の向上が期待できます。
そもそも、CVR(コンバージョン率)とは
CVRとは、「Conversion Rate(コンバージョン率)」を短縮したマーケティング用語であり、母数に対するコンバージョン数の割合です。
コンバージョン(CV/Conversion)は、直訳すると「変換・転換」という意味です。LPのコンバージョンは、あるステータスから別のステータスへの転換を指し、ひと言でいうとLPの成果地点を示します。
LPによってコンバージョンの内容は異なり、一般的には次のようなアクションが設定されます。
- 商品購入
- 問い合わせ
- 会員登録
- メルマガ登録
- 資料・ホワイトペーパーダウンロード
- アプリダウンロード
- SNSシェア など
なお、LPには大小さまざまなコンバージョン地点が存在します。
LPの主要な目的の成果地点を「マクロコンバージョン」、そこに到達するまでの各段階の成果地点を「マイクロコンバージョン」と分類することが可能です。
例えば、LPの最終目標が「商品を購入してもらうこと」だとすると、マクロコンバージョンは、「LP閲覧数のうち、商品購入に至った数」となります。
この場合のマイクロコンバージョンは、「LP閲覧数のうち、CVボタンをクリックされた数」や「CVボタンから、商品購入に至った数」などです。
LPのCVRの目安については、こちらで詳しく解説しています。
関連記事:LPのコンバージョン率はどのくらいが目安?低い要因や改善のポイントを解説
LPO・EFOとの違い
CROと似た言葉として、「LPO」や「EFO」があります。
LPO(ランディングページ最適化)は、LPの構成や、コピー・デザインの改善を通じてCVRを向上させる手法です。LPOとCROは互いに内包しあえる関係であり、LPOにCROを含んで表現する場合や、逆のパターンもあります。
EFO(エントリーフォーム最適化)は、申込フォームのナビゲーションや入力枠を最適化し、ユーザーが個人情報や支払い情報をスムーズに入力できるようにする手法です。EFOも最終的にはCVRの改善を目指すことから、CROやLPOの一つの施策として表現される場合があります。
LP運用でCROを実施する目的
LP運用でCROを実施する目的は、大きく次の3つです。
一つずつ解説します。
CVR(コンバージョン率)の改善
CROの最大の目的は、CVR(コンバージョン率)の改善、つまりLPの訪問者が、特定のアクションを実行する確率を高めることです。
高いCVRを達成することにより、収益・売上の増加や、新規顧客の獲得などが期待できます。
広告の費用対効果の改善
リスティング広告などのWeb広告キャンペーンを実施する場合、LPは広告の着地点としての役割を果たします。
CROによってCVRを向上させることで、広告のクリックからのコンバージョンが増え、広告の費用対効果の改善にもつながります。これにより、広告予算の無駄を削減し、ROIを向上させることが可能です。
ユーザーエクスペリエンスの向上
CROの重要な目的として、特定の製品・サービスを通じて得られる体験である「ユーザーエクスペリエンス」の向上もあげられます。
CROの一環として、LPの使いやすさや情報の品質を改善させることは、訪問者の満足度を向上させます。これにより、長期的な顧客ロイヤリティ(ロイヤルティ)の構築にも寄与すると考えられます。
CRO実施の流れ・手順
CROを実施する際には、計画的かつ段階的なアプローチが必要です。下記のCRO実施の流れ・手順について説明します。
責任者の決定とリソースの確保
はじめにCROの責任者とチームを指名し、プロジェクトに必要な予算・ツール・人材・時間などのリソースを割り当てましょう。
責任者の主な役割は、CROの進捗を管理し、組織内での連携を図ることです。CROは継続的な取り組みが求められるため、長期的なリソースの確保も考慮し、適切な予算と人員を配置しましょう。
改善点の明確化と仮説の設定
次に、CROの対象となるLPの現状を分析し、改善点を明確にします。ユーザーの行動データ・アクセス解析などを元に、最適化すべき箇所を特定しましょう。
その後、改善点に対する仮説を設定します。仮説によって効果を予測することで、改善点の絞り込みができ、効率的にCROを進められます。
CRO施策の策定・実行
改善点を絞れたら、次章で紹介するCROの施策を策定し、実行していきます。
例えば、デザインの調整やCVボタンの配置変更、カート離脱の改善などがあげられます。
データ分析・検証・改善
CROの施策を実行したら、データの収集と分析を行いましょう。
改善内容がCVRの各指標にどのような影響を与えたかを評価し、仮説が正しいかどうかを検証します。
具体的な検証方法については、「CROの分析・検証方法」の見出しで解説しています。
CROの代表的な10の施策
CROの対策として、代表的な10の施策をご紹介します。
- ファーストビューの改善
- タイトル・画像の見直し
- カゴ落ち(カート離脱・カート放棄)の分析
- CVボタン(CTAボタン)の改善
- 入力フォームの改善(EFO)
- コンテンツの見直し
- 導線の見直し
- コンバージョン内容の見直し
- ページ読み込み速度の改善
- 遷移元の広告の見直し
ファーストビューの改善
ファーストビューはLPを訪れて最初に目にする部分であるため、ユーザーがもっとも知りたいことを掲載することが重要です。
ファーストビューでユーザーの興味を引くことができれば、LPを読み進めてもらいやすくなり、結果としてCROにつながるでしょう。
具体的なファーストページビューの改善方法は、次の通りです。
- キャッチコピーを改善する
- ベネフィットを明示する
- 魅力的な画像を設置する
- ターゲットユーザーに合ったデザインにする
- CVボタンを設置する など
これらの要素を見直し、ファーストビューを改善しましょう。
関連記事:LPのファーストビューとは?重要性やサイズについて事例付きで解説!
タイトル・画像の見直し
LPのタイトル・画像は、ユーザーにメッセージを伝えるための重要な要素です。
CROの施策としてタイトル・画像を見直す際には、企業側が伝えたいことよりも、ユーザー目線で考えることが大切です。
例えば、機能やスペックのみを並べるのではなく、商品購入によって得られるベネフィットが伝わるようなタイトル・画像にすることで、実際に購入した未来を想像しやすくなります。
ターゲットユーザーが、購買行動プロセスの「認知→興味関心→比較検討→行動」のどの段階にいるかによっても、最適なタイトル・画像は異なります。ユーザーのニーズを分析したうえで、タイトル・画像を検証しましょう。
カゴ落ち(カート離脱・カート放棄)の分析
商品購入をLPのコンバージョンに設定している場合、最終場面は商品カートです。カートページでカゴ落ち(カート離脱・カート放棄)が発生している場合は、その原因を分析し、改善策を見つけることで、CROにつながります。
主な要因として考えられるのは、次のようなもの
- カートページが使いにくい・分かりにくい
- 想定外の追加費用がかかった
- 決済の手順が複雑だった
- 外部リンクから他ページへ移動してしまった など
カートページのアクセス解析、アンケート調査、ユーザーテストなどを通じて問題を特定し、改善策を実施しましょう。
CVボタン(CTAボタン)の改善
LPのコンバージョンに直接影響を与えるのが、CVボタンです。CVボタンとは、LPでユーザーのクリックやアクションへの誘導に使われるボタンであり、CTA(コール・トゥ・アクション)ボタンとも呼ばれます。
CVボタンのデザイン・テキスト・配置を改善し、CROを目指しましょう。具体的なデザインや事例については、こちらを参考にしてください。
関連記事:LPのCVボタンデザインの7つの要素とは?デザイン考案のポイントと参考事例
入力フォームの改善(EFO)
問い合わせや資料請求を最終目標に設定しているLPの場合、入力フォームでの必要な情報の入力と、送信ボタンの押下がコンバージョン地点となります。
CRO対策として、入力フォームの途中で離脱されたりフォームを放棄されたりしないように、入力フォームの改善(EFO)を行う必要があります。
使いやすく分かりやすいフォームを目指し、ナビゲーションやデザインの最適化を行いましょう。
関連記事:EFO対策とは?実施すべき15の施策と期待できる効果
コンテンツの見直し
LPの内容(コンテンツ)自体に問題がある場合も、CVRに影響します。ページのコンテンツを見直し、読みやすさや必要性を検証し、ユーザーにとって必要な情報を分かりやすく掲載しましょう。
コンテンツを見直すことで、ユーザーの滞在時間の延長や情報理解度の向上につながり、CROへの効果が期待できます。
導線の見直し
ユーザーがページ内での移動をスムーズに行えるよう、導線やナビゲーションの見直しを実施することも、CROの施策として有効です。
ヒートマップ分析やユーザーテストを通して、LP内の導線に関する問題を特定し、改善策を実施しましょう。
コンバージョン内容の見直し
CROを図る際に、そもそものコンバージョンの難易度が高すぎる時は、内容自体を変更した方が良いケースもあります。
例えば、スポーツジムのLPで「会員登録」をコンバージョンとしていた場合、「お試し体験の予約」へ変更することで、コンバージョンのハードルを下げることが可能です。
最終的なビジネス目標の達成に向けて、コンバージョンの内容の見直しを検討してみると良いでしょう。
ページ読み込み速度の改善
CVRに直結する要因ではないものの、ページ読み込み速度が遅いと、ページ離脱につながる恐れがあります。結果としてコンバージョン数も減少してしまうため、CROの施策として、ページ読み込み速度の改善に取り組むことも重要です。
具体的な手法として、画像のファイルサイズや形式の最適化、読み込みを高速化するAMP(Accelerated Mobile Pages)の採用、遅延ロード(画面スクロールに応じた画像の読み込み)などがあります。
遷移元の広告の見直し
LPはWeb広告の受け皿として使用される場面が多いため、LP内の改善だけでなく、遷移元の広告の見直しも必要です。
キーワード分析・広告キャンペーンの最適化・適切な広告プラットフォームの選定などを行い、最終的なCROへつなげましょう。
関連記事:5分で分かるリスティング広告運用の改善方法!判断指標・ポイントを解説
CROの分析・検証方法
CROの施策の実施とあわせて分析・検証・改善を行うことで、成果を高められます。ここでは、CROの分析・検証方法を2種類ご紹介します。
A/Bテストの実施
A/Bテストとは、2つの異なるLPの要素を比較し、より効果的な要素を特定するテストです。
CROの分析にA/Bテストを用いることで、主観的な判断や仮説のみに頼ることなく、実際のユーザーの行動データにもとづいた評価が可能になります。
関連記事:LPのABテストはなぜ重要?具体的なやり方や注意点とおすすめツール3選を紹介
ユーザーからのフィードバック・アンケートの実施
ユーザーがLPを訪問した際に感じたことや体験した感想など、定量評価がむずかしい側面に関しては、フィードバックやアンケート調査を活用することもおすすめです。
回答内容にもとづき、ファーストビューの改善やCVボタンの調整など、CROの施策に活かしましょう。
CROを実施する際のポイント
CROで成果に結びつけるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、CRO実施時の4つのポイントについて解説します。
数値目標を設定する
具体的な数値目標を設定することは、CRO戦略の策定と評価に役立ちます。
例えば、「CVRを現在の5%から10%に向上させる」といった目標です。
ただし、CVRは取り扱う商材や業界によっても異なるため、慎重に設定する必要があります。CVRの目安については、以下記事をご覧ください。
関連記事:LPのコンバージョン率はどのくらいが目安?低い要因や改善のポイントを解説
優先順位を決めて取り組む
CROはさまざまな要素を含むため、優先順位をつけて取り組むことが重要です。すべての課題を同時に改善しようとせず、効果的な改善ポイントから優先的に実行しましょう。
CROの成果は定期的に評価し、必要に応じて優先順位を調整することも必要です。成果が出ない場合には、別のアプローチを検討してみましょう。
カスタマージャーニーの理解を深める
CROを成功させるためには、ターゲットユーザーのカスタマージャーニーを深く理解することが不可欠です。カスタマージャーニーとは、商品・サービスのマーケティング活動において、購入者の行動や考え方を分析し、購入までのプロセスを理解するアプローチです。
カスタマージャーニーの理解を深めることで、LPのコンテンツ・導線・デザインなどの最適化を行いやすくなり、結果としてCROにつながります。
短期的な成果だけに焦点を当てない
CROには継続的なプロセスが必要であり、短期間では成果が出ないこともあります。
短期的・長期的な成果のバランスを取りながら、CRO施策を計画・実行することがポイントです。
まとめ
LP運用でCROを実施することで、CVRや広告の費用対効果の改善、ユーザーエクスペリエンスの向上につながります。
CROを実施する際のポイントは、次の4点です。
- LPの課題を明確にし、数値目標を設定すること
- 優先順位を決めて取り組むこと
- カスタマージャーニーの理解を深めること
- 短期的な成果だけに焦点を当てないこと
本記事でご紹介した10の施策と分析・検証方法、CRO実施の流れ・手順を参考に、CROに取り組んでみてください。
「社内にLP運用に詳しい人材がいない」「対応する時間がない」など、自社でのCRO実施が難しい場合は、外注も検討してみてはいかがでしょうか。
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